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君たちはどう生きるかのモのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

石は意志を持つ、意志を持つものは欲を持つ。人それぞれ。例えば、それが知識欲だった時、世界の全てを知ったものがたどり着く先はたった一つ、死のみだ。

同名小説の印象(素晴らしい本だと思うが、個人的に好きではない)を持って観に行ったから、いい意味で期待を裏切られた。

本の虫であった大叔父が辿り着いた不思議な国は最初こそ知的欲求の行き着いた楽園だったであろう。でも、それさえ全て知って構造がわかってしまった時、確実に興味を失う。冒頭に書いた通り、残る知的欲求は死のみだ。

今回、すごくわかりやすく描写されていて正直驚いた。もっと難癖のあるものを見せつけられるとおもっていたから。
大人の醜さの描写、大衆をインコに模したこと、アリス風の衣装、etc...本当に伝えたかったんだと思った。

でも、正直カウンターを食らった感じでちゃんと伝えたいことわかってない。(自分の意思で生きろって感じなんだろうけど、石持ってきてるし…)本当に想定外で、面食らった。とにもかくにも、宮崎駿がまたアニメ作ってくれて良かったって心から思った。それだけで今はいいかな。寝て起きたらちゃんと考えよ。駿版不思議の国のアリスに感謝



追記
寝て起きたので、考えた

観た時は宮崎駿さん、こんなに観てる側に寄り添った映画を作っていいんか?!と言うカウンターを食らったが、他の人の感想を見るに別に寄り添っていなかったぽい。その現状を見ると逆にかなり悪趣味な内容だったんだなと感じ始めた。

わかんねえやつはわかんなくていいんだよ。わかるやつだけ考えろ。思考しない者は、他者と同じ言葉をオウムのように繰り返し、自分では何もうみださず、上の立場のものの言いなりになり迎合されて、消費して、フンを撒き散らすだけ。キツいっすよ

自分の中での結論としては、やはり同名小説的に考えて「自分で謎を見つけ、疑問を持ち、構造を知り、考え、突き止め、自分で自分の意思を決定すること」それこそがこの映画の本質だろう。ということは、私のこの意見も、他人の意見も全て正しいし、正しくもない。本当の正解はないということ。当たり前のことだけど。

「わからない」ってこころにモヤがかかっている状態で気持ちが悪い。ジブリの都市伝説が流行るのもそれで、理解できないからこそ変な話が流布される。

都市伝説も陰謀論も気持ち悪さの解消は人間の本能だから仕方がない。けれど、観たからには解消するために手っ取り早く人の意見に乗っかるんじゃなくて、自分で考えるべきだ。これはそう言う話で、だからこそそのヒントとしてこの題名なんだ。

しかし、意思(石)を持ち考えを積み上げることはやはり死に近づく。燃えて灰になる積み木ではない。知り続け、意思(石)を積み上げ高みを目指し墓を作る。木の墓は朽ちるが、石の墓は後世にまで残る。

盲目であり続けることは死という概念から逃れられるが、それでは高いところまでいけないし、簡単に燃え尽きてしまう。どちらも人生だ。自分の意思が揺らがなければ、石は崩れない。知ることも考えることもしなかった存在に意思の墓は作れない。

とはいえ、映像的に細かいところを見ていくとやはり謎は多くあり、こればっかりは考えただけではその意図に辿り着けない確信がある。死の門(全文は忘れた…)を通った後の円の結界のとことか…考えろと言われても、やはり限度がありますので…設定集をお待ちしております。
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