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君たちはどう生きるかのdenpunのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.8
ひとつめに、説明がなく観客に積極的な解釈を求めるある種の突き放し感。これは『千と千尋の神隠し』以降の宮崎駿作品と共通ている。同時に2つ目としてその例外である『風立ちぬ』同様に、もしかしたら遺作になるかも、という点で宮崎駿自身の個人的思いに想像を巡らせずにいられない点。その2つの要素がハイブリッドになっている点で新しかった。

閉じられた墓場は過去生み出して来た作品で、それに群がるペリカンは大衆(貪欲に丸呑みし消費していく)、インコ軍団はジブリの後輩を始めとするアニメーション業界のフォロワー達(権威を求める)、飛来した隕石は宮崎駿が幼少期に得たインスピレーション源、世界の創造主たる大叔父は宮崎駿自身で、悪意のない純粋な心を持った後継者がいようとも、自立する意思を持ち火の海となる現実を生きよ、インコ共、ペリカン共よ飛び立て、というメッセージと解釈した。

音楽はメロディが抑制されていて、あれ、今回は久石譲ではないのか?と思うほどだったが、無為に感情を揺さぶることなく淡々と進む印象づくりに貢献していて、その判断は正しかったように思う。
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