尾崎きみどり

君たちはどう生きるかの尾崎きみどりのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.5
アカデミー賞受賞おめでとう記念鑑賞。観よう観ようと思っていたのに機会がなかったので今回観られて良かった。
全編に渡って鳥がヤバ怖い。サギのヤツやっぱヤベー奴だった。歯をむき出しにすな。
ネタバレを避ける為に情報を入れてなかったので世評から難解かと思ってたが、意外にもスルッと入っていけて面白かった。タイトルの元ネタは要素として殆ど出てこないが、作中に主人公が読んでいる場面が出てくる。良い本ではあるのでお母さんセンスイイね。
少年の成長譚に異界巡りを混ぜた物だが、世界観やイマジネーションの奔流が素晴らしかった。地獄の描写は独特で面白い。怖さと美しさは表裏一体なのがよく分かる。神話ではよく鳥は魂の運び屋や魂そのものに例えられるが、本作は割と直球だったように思う。
大伯父が表しているのは恩師高畑監督なのかこれまでの世界や価値観なのか。いずれにせよ少年が塔から出るには異性(=世界の拡張/再構築/調和)が必要なのだろう。
母親を救えなかった罪悪感を持ち続けていた彼が、最後に母自身から赦しを得られた事に限りない母性を感じた。これから世界を作る少年に対して母から最大の愛情を示したと思う。
どうか彼が持ち帰った石が世界が持っていた良心の欠片でありますように。
ジブリのアニメで好きなところは多々あるが、特に美少年と美少女と廃墟と妖怪みたいなオババオジジと豪快ねえさんと草むらと年季の入った機械が好き。(大体全部じゃねぇか)
ジブリらしい走り方とゆるキャラと美味そうな料理も健在。今回も変わらずあって良かった。
尾崎きみどり

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