くまちゃん

シティーハンターのくまちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

シティーハンター(2024年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

いくら映像技術があがったとしてもやはり2次元を3次元に置き換えるのは至難の業だ。漫画には漫画の、実写には実写の良さがありそれぞれの強みを活かせるよう換骨奪胎と取捨選択を繰り返し、次元間のすり合わせが必要となる。その塩梅が狂えばそれは作品の質を著しく損なってしまう。
黄金期と言われる80年代の少年ジャンプ誌上の盛り上げに一役買った大ヒット漫画「シティーハンター」。過去に幾度も実写化はされている。ジャッキー・チェンにフィリップ・ラショーにホアン・シャオミン。イ・ミンホで連ドラにもなっている。だがどれも海外資本のものばかり。ただ日本では上川隆也で後継作品「エンジェル・ハート」がドラマ化されている。
Netflixにて今作が制作決定し、鈴木亮平のキービジュアルが発表された時、期待とともに不安が込み上げてきた。大丈夫なのだろうか?フィリップ・ラショーのフランス版はコメディ色が強かったものの原作へのただならぬ愛情が感じられ、キャラクターの再現度の高さも相まって日本でもヒットを記録した。
しかしジャッキー・チェンの香港版では香港映画感が強くジャッキーファンも鼻で笑って流してしまう珍妙な作品となってしまった。
原作ファンの鈴木亮平は冴羽獠をどのように表現するのか。コテコテの漫画実写になるのかそれとも次元の調和を巧く保てるのか。
そして、特報が流れるとファンの期待値は爆上がりした。血の通った冴羽獠がそこにいたからだ。銃を構える姿、裸で踊る姿、ミニクーパーと共に流れ出すGet Wild。早く見たい。ファンの抱えていた不安は一瞬で霧散してしまった。我々は侮っていた。鈴木亮平の作品に対する並々ならぬ情熱を。

欲望渦巻く猥雑な街新宿。

新宿駅東口にある掲示板には今日も追い詰められた人達が依頼を要望する暗号を書き記す。「XYZ」。これは後がないと言う意味だ。今回獠と槇村が受けた依頼は失踪した妹を探してほしいというもの。内容からして単純明快、獠にとってはイージー案件でありもっこりの前にお茶の子さいさいと片付けられる、そう思っていた。暴力団の事務所では依頼人の妹くるみが拘束されているのが見える。
プランBだ。そう言いながら屋上から翔ぶ獠。元からAなど無いだろうと呆れる槇村。事務所へ突入した獠はクールにスマートにスタイリッシュに悪漢を挫く。シティーハンターの作戦行動は実に大雑把だ。それでも完遂できるのが獠の凄さだろう。
強面の男たちが次々と倒れ逝く中、くるみは逃走をはかる。助けに来たのになぜだ。獠のスケベさが顔面に出ていたのだろうか。槇村と合流するも敵に囲まれてしまった。逃げ場はない。面倒臭いが倒すしかない。余裕の表情で体技を繰り出す獠に対し、鈍臭く、必死に敵をなぎ倒す槇村。これが幼少の頃より死線をくぐり抜けてきた獠とただの刑事であった槇村の実力差。
プランCを伝えると了承する槇村。路地裏までくるみを追い詰める。逃げなくていい。安心していいんだ。自分たちは君を保護しに来たと伝える前にくるみは姿を消した。獠の頭上を飛び越えて。人智を超越した身体能力に二人はただただ唖然とするばかり。

槇村は焦っていた。今日は大切な日。妹の誕生日だ。この日のために店を予約し妹を待たせてある。簡単な依頼のはずが思わぬトラブルに遭遇してしまった。
妹の香とは血の繋がりはない。槇村の父も警察官だった。とある事件で容疑者を射殺し、その遺児を引き取った。それが香である。槇村は父と香に対する誓いを立てていた。香が成人した時全てを話そうと。獠はそんな必要があるのかと尋ねる。本当の兄妹のように育った二人には血よりも濃い絆がある。槇村は言う。ケジメだと。今日がその日だ。
店につくと不機嫌そうな顔をした香が待っていた。1時間も待ったと兄を詰る。シャンパンを煽る槇村に飲み過ぎ注意と釘を刺し、兄弟水入らずの時間が過ぎた。今日は大事な話がある。そういう槇村の真剣な眼差しに香は襟を正す。二人の間に緊張が流れる。互いの鼓動が聞こえるほどに。

その時だ。
窓ガラスを突き破り車が突っ込んできたのは。槇村は咄嗟に香を突き飛ばした。
車から降りてきた男は低く唸り声を上げ様子がおかしい。ゆらゆらと立ち上がる槇村を確認すると。真っ直ぐ向かってくる。それはものすごい怪力だった。槇村の力では脱する事も倒すこともできない。絶対絶命。

異変を感じた獠は今来た道を戻り槇村兄妹のいる店へと駆けつけた。騒然とする現場に嫌な予感を抱きつつ中へ足を踏み入れた。そこには一つの影が見える。槇村である。獠は安堵し彼に歩み寄ると思わず息を呑んだ。槇村の腹部には何度も何度も刺された傷があり、シャツを大きく朱に染めていた。スプリンクラーの雨がその絶望的状況を際立たせている。
原作では槇村はユニオンテオーペの誘いを断り殺害される。その最期は雨の中獠に抱かれながらの落命という印象的な場面だが今作では屋内での死に変わっている。鈴木亮平は槇村の最期は雨に濡れていなければならないとファンの総意を監督に伝え、スプリンクラーを発動させることで原作にイメージを近づけた。雨があるのとないのとでは観客に与える情緒が全く異なる。スプリンクラーを良しとした監督と鈴木亮平の判断は実に正しいものである。
槇村は腰が砕け、獠がそれを支える。胸の中で気力を振り絞り獠にポケットのものを渡す。それは何かの薬物のようだ。くるみを追っていた際彼女が落としたものを拾ったのだ。慣れないことをするからだ。そう呆れる獠にか細い声で伝える。「香を頼む」と。

ここでタイトルが入る。「CITY HUNTER」の物語は槇村の死をもって大きく動き出すのである。

香は掲示板にXYZと書き込む。連絡がほしいと。だが一向に電話は鳴らない。歌舞伎町の飲み屋街を散策すると女性をはべらせ泥酔姿の獠がいた。香はなんとしても兄の仇を討ちたい。兄のことを知りたい。そのためには相棒だった獠の協力が必要だった。しかし獠は香を冷たくあしらう。この件に踏み込むな。帰って寝ろと。
翌日、帰って寝たから来ましたとあっけらかんと語り図々しく冴羽商事の門を叩いた。冴羽商事の場所を知っているなら掲示板を利用する必要はなかったのではないか?オフィスは広く雑多な空間は新宿そのもののようにアダルティな色を宿している。ファイルを開けばキャバクラ、スナック、風俗関係の名刺が並び、箱を開ければその人の好みが丸わかりな大人のDVDが山積していた。獠はあくまでダンディズムを気取り静かに呟く。資料だと。
冴羽商事のオフィスは原作を忠実に再現している。大人のDVD一枚一枚に至るまで制作陣の強い拘りが見える。

冴羽商事の地下には射撃場がある。コンクリートが周囲を包み完全な防音処理が施されている。そこには一丁の銃が置かれていた。香は興味からホルスターから外しまじまじと見つめる。
槇村の銃だ。
壁に背を預けながら獠が言った。コルトローマンMkⅢ。生前槇村が愛用していた銃の名前。香から奪うように取り上げると、的に向かって一発二発三発とトリガーを引いた。弾の続く限り。的に開いた穴は中心に一つだけ。ワンホールショット。寸分の狂いなく同じ箇所に命中させる神の所業。

ここは常に死と隣り合わせ、槇村が住んでいたのそんな場所だ。住む世界が違う。凄んだ所で香は諦めない。なら世界の裏側を、きらびやかな新宿の街を彩るネオンに生じた薄暗い影を直に見て納得してもらうしかない。

鈴木亮平は表現者としての極致に達している。ここで披露されるもっこりショーは多種多様な裸芸を参考に緻密なロジックの上鈴木自ら考案したものだ。この馬鹿らしさ、時代錯誤感こそが冴羽獠の凄さであり潔さでありカッコ良さでもある。
一見不謹慎かつ不道徳の権化に見えるかもしれない。性の対象として女性を搾取する最底辺の人間としての側面も否定はできない。この部分に強く嫌悪感を持つ現代人も多いだろう。セクハラやパワハラ、コンプライアンスに厳しい世の中だ、その潮流に冴羽獠が受け入れられないのは致し方がないのかもしれない。しかし、それは彼の一端であることを忘れてはならない。ふざけている時、性的発言をしている時、他人を、特に女性に対して傷つける言動をしている時は相手を思いやっての事が多い。これ以上傷つかないようにあえて自分が悪役となることでその女性を守っているのだ。獠の不器用な優しさ。それをカモフラージュするためにいい加減な性格を装っているに過ぎない。

獠と香はくるみを保護した。しかし様子がおかしい。阿久津が言うには人体実験の唯一の生還者であり何かを知ってしまったそうだ。
極度に怯え、誰かに何かを伝えようと気力を振り絞る。そして奇妙なことに、くるみには姉はいないそうだ。
もっこり美女に騙された。そう呻く獠をよそにくるみに寄り添う香。大手化粧品メーカーからイベントへの招待があったくるみを健気に支えようとするその姿は、兄の意志を継承したようにも、兄を守れなかった贖罪にも見える。
イベントへの参加を獠は反対した。外ではボディガードの難易度が格段にあがるためだ。それでもくるみの決意は変わらない。半ば死をも受け入れ始めている。

イベント会場は大盛況であった。その盛り上がりに新宿の種馬の活躍が一役買ったことは言うまでもない。股間に馬の頭部をぶら下げた状態であれほどのアクションをこなすとは、コーディネーターもスタントマンもよほど優秀と見える。
香を狙ったスコープ越しに獠が銃を構える流れはシティーハンターそのものだ。

くるみは再び囚われの身となった。
香はその責任を強く感じていた。素人の自分が余計なことをしたせいで彼女は捕まった。獠も怪我を負った。自分のせいだ。守りたい。その意志だけでは誰も守れない。力がなければ。だが諦めない。何としてでもくるみを助け出して見せる。
獠にとって香は相棒の形見だ。慎重な性格の槇村とは真逆の猪突猛進さはこれからの戦いには弊害になる。力無き正義、力無き行動ほど危険なものはない。これ以上香を巻き込むわけにはいかない。
槇村から彼女を託されたのだから。

しかし香は手を引くことを拒む。そこで初めて知る香の真意。
香は知っていたのだ。自分と兄は本当の兄妹じゃないことを。何年も一緒に暮らしてきた。全てわかってた。兄秀幸はいつも守ってやると言ってくれていた。だが兄を守るのは自分の役割だと強く想っていた。でも守れなかった。結局自分は守られてばかりで守ることができなかった。兄が亡くなった時、獠は兄を抱きしめた。その最期を直視し看取っていた。それなのに自分は恐怖で足が竦み動けなかった。悔しい。悲しい。淋しい。許せないのだ。兄を殺した奴らも、くるみをさらった奴らも。でも本当に許せないのはこの非力な自分だった。覚悟は決まった。たとえ獠が助けてくれなくても自分ひとりでくるみを今度こそ助ける。その確固たる決意は獠の中の何かを動かした。

獠は防弾チョッキと槇村の愛銃を香に与えその依頼を受ける旨を伝える。仇をうつために。
なぜあれほど香を遠ざけようとしていた獠が共に戦うことを良しとしたのか?
香の涙ながらの独白は迫真であり、血の繋がりがないことを知っていたと聞いた時の表情の機微は見事なものだ。決して誇張せず、クールを崩さず、それでも驚きを隠せないそんな顔。
冴羽獠は基本的に美女からの依頼しか受けない。しかし例外がある。それは心が震えた時。香の強い信念、兄に対する想い、自分の弱さを受け入れる勇気は獠の心に浸透し気持ちを揺さぶった。香に槇村の姿が重なったのかもしれない。守ってくれなくていいと言う香に獠はあらためて決意を固める。絶対に守ると。

くるみに仕掛けた発信機を頼りにその現場に到着すると、そこには殺戮の地獄絵図が広がっていた。何かの研究施設。ここでエンジェルダストを使用し人体実験が行われていた。
そこへ武装集団が押し寄せ銃撃戦が展開される。獠は基本的に銃一丁あれば何でもできる。鉄板を回転させることも機械のナットを外すことも可能だ。跳弾や貫通力を利用して一発で複数人倒すことだってできる。その漫画的荒唐無稽さを無理のない範囲で再現されており邦画ではあまり見ないレベルのガンアクションが構築されている。また香との掛け合いも絶妙である。プランBと言った獠に対し元からAなどないだろうとツッコむ香。プランCと言った時は素直に受け入れる香。その言葉は生前の槇村と同じものでありそれを聞いた獠はどことなく嬉しそうだ。何より初めての共闘にしてしっかり獠のサポートを務めているのが香に備わる資質としか思えない。それも獠の常人離れした戦闘スキルがあってこそではあるが。

ユニオンテオーペの1人である今野はくるみを人質として香に揺さぶりをかける。
香の父親はユニオンテオーペに属していた。だが娘が生まれたために脱退したいという。それを上層部に伝え、エンジェルダストで暴走するきっかけを与えたのが今野であった。その後、香の父は槇村伸幸に射殺され、香は槇村家に引き取られることとなった。つまり今野は実父と義理の兄両方の仇である。自身にまつわる過去をこんな形で知らされた香は怒りと悲しみで顔が歪み涙が溢れる。今野と自分の間には防弾ガラスが隔たり、殴りたくても拳は届かない。屈辱的に悲嘆に暮れる香、それを嘲笑する今野。その時。今野の顔が凍りついた。眼前の分厚いガラスに白いヒビが入ったのだ。その奥には銃を構えた冴羽獠が佇んでいた。一歩一歩近づきながら人差し指を引く。弾は全て同じ箇所に命中し今にもガラスを穿とうとしている。
防弾ガラスを破る話は原作やアニメ版にも登場する。銃とは摩耗や焼損、フレームのガタつきなど、繰り返し使用することで性能が低下する。それを解消するために使ったのが量産される銃の中で1000丁に1丁できるかどうかという奇跡的精度を持った銃、ワン・オブ・サウザンドである。それによって自身では15メートルが限界としていたワンホールショットを50メートルで可能としていた。
つまり今回防弾ガラスを撃つのに使用した銃はワン・オブ・サウザンドである可能性が非常に高いのだ。

弾はガラスを貫通し今野の頬を掠める。数カ所穴を開ければその強度は劇的に低下する。もはや隔たる防弾壁はただのガラスと変わらない。
今野國雄。この男は槇村の死の原因を作った男。死を持って償わせなければならない。喚く今野に無言で銃口を向ける獠。すると隣では香が震える手でグリップを握っていた。憤怒と悲嘆に染まった虚無な双眸は今野の無様な姿を捉える。早く撃てと挑発を繰り返す今野。こんな奴に兄が殺されたのか。父が殺されたのか。許せない。その強い想いとは裏腹にどうしてもトリガーを引くことはできなかった。一連の香の姿を制止するわけでもなくただ見守る、兄のように、父のように。それが獠の優しさだ。銃を降ろした香は堪えきれず嗚咽が漏れる。獠の胸に縋るように涙を流す。常に明るく振る舞い、時には空回り、危険な目に合うこともあった。だがそれは常に気丈であろうと努めた彼女なりの強がりに過ぎない。たった一人の家族を失った悲しみはその弱々しい肩にはとてつもない重圧だ。香の縋るという行動は獠に助けを求めているわけではない。今はその重荷に耐えきれず何かにつかまらないと立っていられないのだ。

今野はユニオンテオーペの掟に従い、首元の爆弾によって死亡した。
だが、世界にまたがる巨大麻薬シンジケートとシティーハンターの因縁はただの序章に過ぎない。

今作ではエンジェルダストが大きなテーマとなり、それによって肉体が強化された人間が暴れる事件が頻発していた。くるみも投与された一人である。しかし冒頭で人間離れした跳躍を見せて以降、エンジェルダストの影響が全く描かれていない。エンジェルダストを投与された人間は自我を失い暴走し、効き目が切れると絶命する。くるみは自我を保ち生還した。しかし薬物を描く以上、何かしらの後遺症に苦悩する姿も必要だったのではないかと思う。

森田望智は予想以上に香過ぎた。
可愛らしい外見に反して色気がない。
それは森田望智がそうであるわけではなく、槇村香のキャラクターとしての再現である。流石に原作にある男性と間違われるようなくだりはなかったが、女性に人気がありそうな性質は感じる事ができた。
香を象徴とする100tハンマーは漫画ならではの表現であり、実写ではリアリティに欠けてしまう。それをコスプレの小道具とすることで自然な形でファンサービスを可能としている。さらにラスト、最も効果的な方法で獠への天誅というお馴染みの場面を再現している他、初めて獠が香の名を呼ぶのも実にエモーションに富んでいる。というか「香」と言った瞬間、今作はシティーハンターとなり、これまでの二人の軌跡が脳裏をよぎり、エンジェルハートでは故人となっていることまで含めて感情をかき乱した一条の涙が頬を濡らす。

エンジェルダストの回想では死体の山の中で海坊主が起き上がる場面がある。
冴羽獠はかつて飛行機事故により両親を亡くし、反政府ゲリラに拾われ育てられた。そこで海原神によって戦闘術と生きる術を教わった。その後力をつけた獠はメキシコの内戦で一個師団を30分で壊滅させるほどの強さを誇ったという。長引く内乱によって狂気を発露した海原は獠にエンジェルダストを投与し戦場に解き放った。薬物により増幅された凶暴性と怪力、人間離れした身体能力は容赦なく命を奪い単騎で一つの部隊を殲滅させた。その政府側の部隊を指揮し、唯一生還したのが海坊主である。
海坊主はこの時の怪我が元で弱視となり後に失明している。
つまりこの僅かな場面には獠の経験した凄惨な過去が凝縮されている。

鈴木亮平の冴羽獠は漫画の実写化としては完璧であった。ハードボイルドとコメディの緩急、現代的アクションシークエンス、そしてもっこり。原作やアニメと異なり女性への興味を強く示しながらも決定的には手を出さない。そこには変態的生々しさがなく、爽やかさすら漂わせている。ある意味健全で、逆説的に誰にも心を開いていない隙の無さが垣間見える。
また普段煩わしいほど饒舌な獠が見せる細やかな寡黙な表情。例えば香が兄と血の繋がりが無いことを知っていた時や、香に槇村の影が重なって見えた時等、驚きや喜び、懐かしさのようなものを感じながらもいつものようなオーバーなリアクションはとらず言葉すら発しない。その飾らない奥ゆかしさこそが映像的であり、冴羽獠そのものである。

安藤政信の槇村秀幸も再現度が高い。
パッとしない見た目ながらメガネを外すと端正な顔立ちという設定にも絶妙なキャスティングと言えるだろう。
安藤/槇村を見ていると自然と声が田中秀幸に聞こえてくる不思議体験。
それは鈴木/冴羽や森田/香を見ていてもそれぞれ神谷明、伊倉一恵に聞こえてくる。キャラクターの親和性の高さが異常。

アニメ同様「Get Wild」のイントロ導入が今作でも完璧であり、自動再生がない演出も粋であった。
次作があれば海坊主も本格的に参戦することになるであろう。その際は今作には描かれなかった銃のメンテナンス場面を挿入されることを密かに願う。
くまちゃん

くまちゃん