ジェイD

ゴジラxコング 新たなる帝国のジェイDのレビュー・感想・評価

3.8
心優しき孤独な男(ゴリラ)!一帯を仕切る最強番長(ゴジラ)!島の拡大を目論む凶悪な総長(赤老猿)!囚われの姫(霜)!一応体裁を整える委員長兼スケバン(蛾の姫)!さぁ、勝手に戦え!!

ゴジラとコングの大喧嘩から数年後。ゴジラは地上を、コングは地下空洞を治めることで世界は束の間のバランスが保たれていた。しかし地下から発せられた信号を辿ると、凶悪な存在がいることが判明し…。

最高クラスのバカ映画(褒めてる)。到底マイナスワンと同じIPとは思えない、明らかに中に人が入ってるとしか思えない大怪獣たちのヤンキー映画がそこにあった。わかった、もう笑ってやろう、存分に暴れてくれとスイッチが入るのに少々時間はかかったものの終盤のてんやわんやは本当に見事。

思いっきりファンタジーに振り切ることでサイケデリックさマシマシになってて困惑が止まらない。コングが主導の物語であるからこそ、感情豊かで魅力的な怪獣ドラマが紡がれていた。怪獣映画における人間ドラマはいつも退屈だからといって怪獣のドラマを増やすのはかなりの奇策でありながら大正解。

それゆえに「これゴジラいるか?」となったのも事実。コングだけでこれだけしっかり話が描けてるから"その裏で…"みたいにゴジラ先輩が現れるたびにどことなく無理矢理感もあった。もはや同じユニバース過去作KOMの頃の威厳は感じず、最強の暴れん坊番長って感じ。まあ今作ではそれがいい風に作用するのだけど。

ところでもうみんなが話しているであろうこと。シーモちゃんが可愛い。後半あたりからしか出てきてないのにその属性過多っぷりに一気にファンを増やしている。モンバス製作者の皆さんやればできるじゃないですか、東宝を介さずに魅力的なタイタンを作れるじゃないですか。ただしスカキン、お前ぇはダメだ。

正直好きなゴジラ映画ではないが、好きな怪獣映画ではある。予告ではギャグだと思ってたゴジコン大爆走も、本編の流れで見ると尋常じゃない激アツ展開だったし、あのシーンのときにはこちらの怪獣たちに対する重量感覚が麻痺してきてるからもう遠慮なくノレる。荒唐無稽なストーリーだけど、思う存分バカになれるように計算されたストーリーでもあったと思う。

あと山崎貴監督が言っていた通り、今回のモスラ凄く良かった。
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