このレビューはネタバレを含みます
最高級の続編映画！より深い陰謀によりデカい砂虫、よりヤバいキャラ、大満足！全画面画力埋め尽くしのSF巨作。
ハルコンネン家の急襲を生き延びたポールは砂漠の民フレメンと生きる道を探していた。しかし、皇帝の陰謀と秘密組織ベネ・ゲセリットの導きによって、ポールは恐ろしい予言に苛まれていく。
前作に続いて予知夢にうなされながら来たる戦争という悲劇に抗おうとするもどうしても予言という運命から逃れられないポール君。そういえばヴィルヌーヴ監督映画だったと実感させられる宿命に踊らされる系大作だった。復讐やら救世主やらあまりに求められすぎてアイデンティティ破茶滅茶になりつつある主人公を眺めるのはフィクションだからこそ楽しめる。ごめんねポール君。
そんなポール君を苦しめる一因となっているのが「『ミスト』の宗教おばさん」ならぬ宗教おじさんスティルガー。信仰の力が強すぎて最初こそギャグキャラに見えるのに後半は笑えないその狂信っぷり。団結の力でもある迷信に対して困惑を感じてるのが1人しかいないという惨状。不憫すぎる主人公。振り回される恋人。してやったりの母。
だから観ながら思ってたのが、前評判ではスターウォーズの『帝国の逆襲』級だと言われていたけど、これ『シスの復讐』だったぞ。選ばれし者がいろんな感情ぶん回されてダークサイドにハマっていくやつやん。たしかに明らかになる血筋とかどんでんはあったけど、だんだん黒くなっていくポール君のマントよ。未だに小説に手をつけられてないが、どうなっちゃうのだろう、覇王の道を進むのか…。
しかしこの世界まだまだ上がいそう、さらにエラいことになりそう。もはや砂漠関係なくなりそう。既に権力を求めてドヤ騒ぎが起きてるのに、皇帝やら大ボスがまだ存在してて、それを操っている組織がいて、それら相手にしなきゃいけないんでしょ？終わる？数年以内に。
映像がエゲツイのは前作からなのでちょっと慣れを感じたけど、それを踏まえてもデザインと表現が圧倒的で、特に今作での砂虫様の大活躍っぷりに笑うしか無い。終盤のクライマックスでのあれとかもはやギャグ漫画の域だったし怖すぎて笑った。何でもスケールがデカくなる続編映画の宿命を背負うシャイ・フルード様最高だった。音響もドスドスした硬めの轟音が気持ちよかったけど、ハンス・ジマー先生がちょっとおとなしかったか。いや欲張りだけど。
アホほどデカい作品なので普通サイズのスクリーンで観たときに面白いかどうかは少し考えものだけど、映像と音響から成る映画という芸術において今作は確実に歴史的転換点。没入を大前提としたスペクタクルなんだから圧倒されるがままで吉ってもんです。
途中映ったあれについてネタバレコメント欄で。
