ハートフルな料理人ドラマの雰囲気が続き、温かい眼差しでシビアな現実を突き付ける映画。
オドレイ・ラミー主演、フランソワ・クリュゼも出ていた。
腕は確かだが、勤務先の一流レストランでシェフと喧嘩して職を失ったスーシェフのカティが見つけた新たな仕事は移民の少年たちを保護する施設での料理人。
荒れた学校に破天荒な先生がやってきて徐々に絆が生まれるあのパターンを移民施設と元料理人に置き換えたような感じ。
感動させようとする単純ないい話にせず、移民問題を絡めて現実を突きつけてくるあたりがフランスだなぁ。
「料理の鉄人」に似たテレビ番組も劇中に登場、対決するシェフたちはやはり男性だし、カティが移民の少年たちに料理を指導する前に「ミソジニーは無しで!」とわざわざ断りを入れるあたり、料理人の世界はまだまだ男性が多い世界なのだなと改めて感じる。
少年たちは興味を持ち、手に職をつけてフランスにとどまることを夢見て生き生きしてくるが…。
現実はそう優しくないし融通も利かないのよね。きっちり線引きされて法律や制度が立ちはだかる。
少年たちとカティの予期せぬ交流にほっこりして違う結末も期待させるが、あの結果はやはり現実って酷だわと思ってしまう。
移民の子供たちを保護する施設があるだけまだ良かったし、わずかな希望は垣間見え、悲観過ぎない描きかたでよかった。