こなつ

ウィ、シェフ!のこなつのレビュー・感想・評価

ウィ、シェフ!(2022年製作の映画)
4.0
実在の移民支援プロジェクトのシェフをモデルにした社会派コメディ。心温まるストーリーに胸が熱くなる。移民大国フランスらしい作品だった。

天涯孤独で人付き合いが苦手なシェフのカティ(オドレイ・ラミー)は、自分の店を持つことが夢だった。そんな彼女が働いていたレストランのシェフとぶつかり店を飛び出して再就職した先は、移民の少年たちが暮らす自立支援施設。

様々な事情を抱え危険を冒して単身フランスに辿り着いた未成年の移民たち。そんな彼らに料理を作る楽しさ、チームワークの大切さ、料理の持つ力を教えながら、次第に強い絆が生まれてくる。オドレイ・ラミーが魅力的なシェフを演じている。

300人以上の中からオーディションで選ばれたという実在の移民の少年たちの素敵な演技にも魅了され、すっかり物語に惹き込まれる。

母国の戦火や迫害を逃れ、自由と平和を求めてやってきた少年達の道は決してたやすいものではないが、まるで家族のようなカティの温かな愛が、料理を通して彼らに生きる希望を見い出させていく。そしてまたカティの人生をも変えていくことになる。

まさに美味しい料理はみんなを笑顔にし、人の心を動かすのだ。温かくて幸せな気持ちにしてくれる作品だった。
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