YUSUKE@アイアンマンの人

劇場版 SPY×FAMILY CODE: WhiteのYUSUKE@アイアンマンの人のネタバレレビュー・内容・結末

劇場版 SPY×FAMILY CODE: White(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

filmarksの検索ボックス、英語で検索しても出てこない……カナ入力で解決です。

ジャンプアニメのオリジナルエピソードの命題のひとつに「食べ物」がある。
『ONE PIECE』(映画一作目、TVオリジナルエピソード)『鬼滅の刃 無限列車編』(TV版第1話)『ドラゴンボールZ 神と神』など。
大抵の場合は「食い物を粗末にするな」「食い物の恨みは恐ろしい」。
本作『SPY×FAMILY CODE:WHITE』はそこを少々掘り下げる。

本作のプロットはアーニャの調理実習のためにフォージャー一家がそろって田舎までメレメレなるお菓子(本作オリジナルの料理。果物と生クリームをパイ生地に重ねた感じのもの)をレストランまで食べに行くという筋立て。
悪役は食通の軍将官である。その軍将官がアーニャが口にするはずだったメレメレを(一見合理的に見えながら)横暴にも奪うのである。

レストランの店主いわく、材料がない。当然レシピも門外不出。ということで、フォージャー一家は店主に頼まれた具材を町中へ調達へと向かう。

一つだけ手に入らない材料があり、アーニャは飼い犬ボンドの未来予知を超能力で察知し、お店を見つける。自分のギフトがばれてはならないので、両親の目を盗んでホテルから抜け出しリキュールを手に入れるが、彼女はあえなく軍将官の手下につかまってしまう。

彼女は行きのみちすがら、軍将官がチョコレートの中に隠したマイクロフィルムをそれと知らずに誤って食べて(飲み込んで)しまっていたのである。

この食べ物というのが切り離せないファクターになっていて、それを掘り下げたのが、オリジナルエピソードの白眉だと思う。

もちろん、ご飯を食べたら人の営みとして当然、排泄がまっている。
そこまでの経緯をストーリーの流れに組み込む(+子供と私みたいにうんこギャグが好きな人はそれで笑う)という、食事行為のメタ的な解体がこのシナリオの妙だと思う。

あと作画的な白眉は、満場一致で「うんこの神様」パートだと思う。
でもさすがにアーニャも女の子。漏らすわけにはいかない。本作でも盛大にオマージュを捧げたと思われる『クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦』さながらの活劇がバンバン繰り広げられる。

ただ一方で、ヨルの戦うサイボーグ戦士は、明らかに空飛ぶ乗り物が中でいろいろやっていい人じゃない。というか、飛行船なのに平然と銃弾の雨あられである。『アルマゲドン』で石油リグでショットガンぶっ放すブルース・ウィリスみたいな危ない人が何人もいる。

ちなみに、なんとおりしも子供が飢える、子どもの想像力の飛翔という演出を『窓ぎわのトットちゃん』と重ねてくる。偶然の一致だろうか。

とりあえず、良い新年初笑いを迎えられた、肩の力を抜いて脳みそからっぽにして気楽に楽しめる映画。しかしレイトショーで見たのは失敗だった。子どもでいっぱい(※本作は特に小学生に人気である)の場内爆笑を共有させていただくべきだった。