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トゥルー・スピリットのhuaのネタバレレビュー・内容・結末

トゥルー・スピリット(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ヨットによる単独無寄港無支援世界一周。
ニュース等でもよく耳にする言葉だが、それを16歳の少女が挑戦する事実に基づいた話。
大自然を侮ってはいけない。もちろん大嵐の中の航海も何日も続く無風状態も過酷だが、孤独という精神的過酷さも描かれていた。

良い風が吹き、大海に姿を見せるイルカやクジラ、海に映る満天の星空や夕陽の美しさは、何物にも代えがたい感動を呼び起こすセイリングの醍醐味なのだろうと思うが、210日の間過酷との闘いの方が多いのではと想像した。

白石康次郎さんの単独世界一周の挑戦や、世界一周ヨットレースのヴァンデ・グローブ等のドキュメンタリーを拝見すると、その過酷さがもっと真に迫っており、故障した計器や
折れたマスト、破れたセールの修理も全て一人でやる姿を写し(ここで失敗を認め挑戦を諦めることもあるが)、日常の食事や睡眠等当たり前のことも窮屈で不便を強いられる状況が、こちら側にも否応なしに伝わってくる。

この映画はそこまで描かれることがないのが物足りなさを感じる要因だったのかもしれない。
ウィキペディアによると、ピンクレディ号は何度も転倒しているし、そもそもまだまだ経験の浅い16歳という年齢でこんな挑戦をさせるべきなのかという批判もあっただろう。
成功したから賞賛されたのだろうが、失敗したとしても前向きなニュースとして扱われたかもしれない。
それよりも、ヨットが逆さまに海に沈んだ状態で最悪のケースで幕を閉じた場合、家族や指導者は自分を責め一生引きずって生きていくしかない。
そこまでのことを考えて、ジェシカは挑戦すると決めたのかというと疑問が残る。

とはいえ、無事で本当によかったし、ピンクレディ号はブリスベンの博物館に展示されてるとのこと。見てみたいと思った。
そして、最後のジェシカの言葉。
「特別でなくても 何かを達成できる。ただ夢を見つけて 努力し続けるの。」
夢を見つけること、そして努力し続けることがいかに難しいか。
それができる人は特別なのだと、16歳のジェシカに言ってあげたくなった🐨
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