スティーブ

ザ・キラーのスティーブのレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
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任務に失敗した殺し屋が、依頼主に家族を狙われ、どんどんドツボにはまっていく話。

なんかこう全体的に渇いたドライな手触りの話ながら、そういうところがむしろおかしみに通じていくというなかなか興味深い作品。仕事人的な内容になるかと思いきや、一つの失敗からどんどんドツボにはまり、その中で足掻きまくる、けれど、「ああくそ、なんで俺がこんな目に!」的な悪態はつかず、「いや、あくまで計算通りだが?」的なスカしっぷりがおもしろさになっていくシリアスコメディ、とでも言おうか。正直、『ゾディアック』『ドラゴンタトゥーの女』辺りから、ちょっと趣味と外れ始めていたフィンチャーだけど(『ベンジャミン・バトン』『ソーシャル・ネットワーク』は大好きだが)、本作で改めてまた見たい監督に浮上した次第。おもしろかった。