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ガメラ3 邪神<イリス>覚醒のスティーブのレビュー・感想・評価

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平成ガメラ3作目。ガメラを憎む少女と、ガメラのカウンターとして生み出されたイリスの戦いを描いた物語。

本作が異色なのは、序盤のガメラが少女の目から見て悪役として描かれる点であり、それがそのまま怪獣と少女の繋がり、戦いの原因となって、いわゆるセカイ系ストーリーが展開される点。考えてみれば本作公開時は1999年で、エヴァの劇場版が公開されたあと、いわばこういったストーリーが世を席巻していた時期なんだよなあ、とか。そりゃどれだけ人類の敵を叩き潰そうが、その巻き添えで自分の親が死んでいれば憎まざるを得ないし、物語のもっともらしさもそれなりではあるんだけど、前回が細やかな自衛隊のディティールでもって人類の知VS宇宙生物を描いたのに対して、今回がスピリチュアルなオカルト怪獣バトルとなると、まあ戸惑う層があるのも無理ないわな、と。それでも渋谷や京都を容赦なくぶっ潰していく大量破壊はナイアガラファイヤーワーク的な得も言われぬ美しさとカタルシスがあったし、わりとバッドエンド的なおれたたエンドも、絶望の中でも戦い続けるガメラの後ろ姿が問答無用に格好いい、さらには「同じことやってもしょうがねえだろ!」とばかりに前作の成功に甘んじることなく作風を尖らせていく姿勢もギラギラしていて、個人的にはかなり評価高いです。

追記
イリスの飛行シーンは閃ハサのクスィーみたいで、そういう意味では時代を先駆けまくっていたんだなあ、と。