らんらん

二人の息子のらんらんのレビュー・感想・評価

二人の息子(1961年製作の映画)
4.0
ある日突然年老いた父(藤原釜足)が仕事をクビになってしまい実家の生活が困窮する

こんな時頼るべき子供達はというと、長男(宝田明)は一流企業に勤めているサラリーマンなのだが、過去に結婚を反対されて以来疎遠なのに加えて、その妻(白川由美)が鬼のような冷酷さなので期待できない
次男(加山雄三)は兄に代わりなんとか生活を支えようと白タク行為で1日15時間労働をして頑張るのだが、、、
そして末っ子(藤山陽子)は長男の会社でエレベーターガールをしていたが、部長に見初められ玉の輿を狙うようになるのだが、、、

あらーー、こんなお話なんですか、えらいもの見ちゃった感、成瀬映画のように不幸が次々と押し寄せてくる、現実は残酷なんですねー

戦後の変化した家族関係、核家族、老後とかその辺の問題をシリアスに描く作品です
それにしたって状況がつらいなー、長男夫婦の言うこともわかるんですよね、出来ないことは出来ない無いお金は出せない、この辺の考えは現代に通じるところがあると思う
でも浪花節的な次男の行動、兄への批判もわかるんですよねー、しかも、しゃかりきに働いて少し幸せ(原知佐子)が見えたかもと思わせといての悲劇
末っ子藤山陽子の描写も残酷ですねー、幼い時から貧しい暮らし、それから抜け出すために恋人をフって部長とリッチな生活を夢見る、その結果が、、、一番かわいそーかも

世知辛い世の中ですねー、長年の苦労の末作り上げた自分たちの生活、幸せを守りたいだけなのにそれすら脅かされままならない
最後の方でお父さんが自分より年寄りで使えないお爺さんの仕事を奪って職を得るシーンも印象的です
ここまで来たらなりふり構ってられない、他人の事なんか考えていられないですよね
結局他に頼るものがない以上、自分で切り開いていくしかないみたいな

そんな醜くていやーなシーンばかりなんですが、ラストは少し救われている、むくれてはいたけど奥さんがベランダから見送ってくれてるのも良いです、納得はしていないだろうに偉いなーと
現代だったらバトルしてでも、離婚に至ろうとも真の鬼嫁ならば許さなそうですよね
らんらん

らんらん