元空手部

クイーン・オブ・ダイヤモンドの元空手部のレビュー・感想・評価

4.0
ただし、要再見。
オープニングのダイヤのクイーンのカードから始まり、赤の形而上学とも言うべき、赤のモチーフが多用されている。それは街の至る所にある赤いオブジェクトであり、ネイルであり、チップであり、燃え盛る木もそうだ。実際には赤というよりオレンジや赤茶色といったモチーフであることも多いが、これらもダイヤのクイーに引き寄せられて赤に加わる。しかしラストではワンシーンワンショットでその赤(ブレーキランプ)が後景に退隠し、白(ヘッドライト)へと置き換わる。
また、もう一点興味深いのはカジノのシーンだ。同じ人物の同一アングルのショットを繰り返すことで、劇中の時間経過とは異なる感覚的な停滞がある。ここでも赤いチップは目まぐるしくドル紙幣や青いチップに交換される。交換により赤は赤でなくなることも複数の時間軸により示されている。
ただ、これはあくまで感覚的な赤の変化であり、私が先ほど触れた赤とはあくまで形而上学的な赤の傾向にある。俗っぽく言い換えるなら浅い赤と深い赤だ。浅い赤には青も白も含まれないが、深い赤は誰にも捉えられないがゆえに入っているのかもしれない。
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