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ペイン・ハスラーズのfujisanのレビュー・感想・評価

ペイン・ハスラーズ(2023年製作の映画)
3.6
意外と!?(失礼😅)よく出来たNETFLIXオリジナル映画でした。

2023年、「ハリー・ポッター」シリーズを撮ったデヴィッド・イェーツ監督の作品で、主演は「ボーダーライン」一作目でかわいそうだったFBI捜査官役のエミリー・ブラント、助演にクリス・エヴァンスっていう、実は豪華な映画。
(ポスタービジュアルもうちょっとちゃんと作った方がいいですよね・・・)



物語は、お金がなくストリップバーで働くシングルマザーのライザ(エミリー・ブラント)が後発で売上が伸びない製薬会社のMR(営業)として働きはじめ、持ち前のガッツで医師へ薬を売り込み、のし上がっていく、という話。

販売している薬が世界中で中毒が問題になっている鎮痛剤ということで、後半は鎮痛剤中毒による深刻な問題(いわゆるオピオイドクライシス)を提起する社会派の作品になっています。

本作は、2018年ニューヨーク・タイムズ紙の記事「Pain Hustlers」を元に作られた事実ベースの映画。主人公のモデルとなる人物はおらず、会社名や薬名などは違う名前に変えられているようですが、メインプロットは2020年のインシス・セラピューティクス社の事件のままのようです。

参考:
https://www.afpbb.com/articles/-/3264977

オピオイドをはじめとした鎮痛剤は中毒性があり、古くはマイケル・ジャクソンやプリンスの死亡、死亡に至らなかったもののウィノナ・ライダーやマドンナなど、セレブたち含め100万人とも言われる鎮痛剤中毒の被害を出しています。

劇中でもこの中毒の描写が怖く、薬をくれって迫ってくるところなんかはゾンビ映画のテイストでしたし、歯が溶けたりするシーンなんかもあり、米国で20年間に77万人が死亡し、今も毎日130人が死亡している問題の大きさを感じました。

最初はお金のために薬を売り込むライザですが、身近な人にまで被害が及ぶにつれて良心の呵責に悩まされることになるのですが、この前半と後半の演技の切り替えはさすがにエミリー・ブラント、見事でした。

ということで、米国をはじめ世界中で問題になっている鎮痛剤中毒問題を一つの事件を通じて印象的に描いた、良い映画だったと思います。



以下は個人的な思い出。

就職活動で業界調査をしていた頃、一番給料が良いのはMRでした。

MRとは、Medical Representatives(医療情報担当者)の略で、製薬会社に所属して医師に薬を売り込む営業職。

軽い気持ちでOB訪問を申し込んだのが大失敗で、猛烈な勧誘を受ける事になってしまいました。

私自身文系卒でもありますし、軽い気持ちの情報収集だったので断ったところ、文系でも大丈夫だと。ほんまかいな・・😓と思い、別ルートでも調べると、休日は医師とゴルフ、担当医師からの電話はいつどんなときでも出るなど、コミュ障のワタシには地獄のような世界で、必死で逃げた思い出があります。

本作のライザも元ストリッパーで高卒。製薬会社なんて到底無理だわってことになるのですが、同僚のピート(クリス・エヴァンス)が大丈夫、大丈夫って採用してくれます。

採用されてからは常に携帯を持ち、セクシーな服装でお菓子を持って医師のもとに訪れる毎日・・そんな少しコミカルで嘘っぽいシーンの映像を、『こ、これ、ほんまの話やで・・・』 って真顔で見ていた私です😅

だいぶ昔の話なので、今はだいぶ変わっていると思うのですが・・・



余談:

・偶然ですが、”ハスラー(ハッスル)”続きのレビューとなりました。こちらのハスラーは”押し込む=詐欺まがいの押し売り”という意味になるんだと思います。

・観終わって、娘さんの手術代はどうなったんだろう、と思ったのですが、術後のシーンなどから、どうやら安い方(大変な方)の手術を選んだようですね・・

・エミリー・ブラントですが、先日制作が明かされた「ボーダーライン3」に復帰するという話がありました。楽しみ!

『ボーダーライン3』はエミリー・ブラント、ジョシュ・ブローリン、ベニチオ・デル・トロを復帰させる意向 | THE RIVER
https://theriver.jp/sicario3-wants-3-casts/




2023年 Mark!した映画:314本
うち、4以上を付けたのは34本 → プロフィールに書きました
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