回想シーンでご飯3杯いける

終わらない週末の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

終わらない週末(2023年製作の映画)
4.0
何かのドキュメンタリーで「映画の半分は音で出来ている」という話があったけど、本作は正にそれを強く感じさせる。もし、映像か音かどちらか片方を選べと言われれば、本作の場合、僕は音を選ぶ。

ロングアイランドの貸別荘で週末を過ごす事になった家族。夜になって突然訪れたのは貸主を名乗る黒人の父娘だった。同時に、大停電や異音等、謎の現象が立て続けに発生し、馴染みの無い2家族で孤立状態からのサバイバルが始まる。

先に書いた通り、とにかく音による演出が秀逸だ。何が起こっているか登場人物も分かっていない設定なので、そもそも台詞の中に情報は無く、登場人物と同様に音と映像の恐怖に迫られる体感を共有するのが、本作の楽しみ方として最良に思える。イーサン・ホーク、ジュリア・ロバーツ、マハーシャラ・アリ、ケヴィン・ベーコン等による演技も申し分ない。

同じNetflixで2021年末に配信された「ドント・ルック・アップ」同様、パニック映画の体をとっているものの、決着やオチを期待する作風ではなく、得体の知れない状況に追い込まれた時に、隣人や政治家がどのような行動を取るのかを見せていく作品である。

その視点で見れば、難解どころか、むしろ明確なメッセージさえ感じられる作品と言って良い。アメリカのテレビのリモコンって、Netflixのボタンがあんなに、、、、。実際はどうであれ、強く印象に残るシーンだった。