回想シーンでご飯3杯いける

スペースマンの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

スペースマン(2024年製作の映画)
3.6
これは僕の好きなタイプのアダム・サンドラー映画。割と馬鹿っぽいイメージで語られがちだけど、本作のようにくたびれた中年男、特にパートナーと上手くいっていない役をやらせると抜群の味が出る。

ってか、本作のタイトルは「スペースマン」になっているけど、宇宙探索ものの形を取りながら、実は地球に残してきた妊娠中の妻との距離感を軸に描いているのだ。太陽系の果てを探索する任務に熱中するアダム・サンドラーに対して、単身で妊娠生活を送る事になってしまったキャリー・マリガン。異色の共演だけど、アメリカ人のアダムと、イギリス人のキャリーによって、夫婦関係に対する対照的なスタンスを上手く描き出していると思う。

っていうか、2人は太陽系の果てと地球上という物凄い距離を隔てた場所にいるわけで、考えてみれば回想シーンを除いて2ショットが一切ない事に気付く。これでドラマを成立させてしまうのは、2人の演技力あってこそだ。

アダムが乗る宇宙船に現れる地球外生命体。人間の特性を知る為に地球の言葉を学んだという設定になっているのだが、独特な口調でアダムの心に忍び込んでくる。「2001年宇宙の旅」のHAL 9000へのオマージュなのだろう。