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マエストロ:その音楽と愛とのsahoのレビュー・感想・評価

3.6
“There is no hate in your heart”
「アリー」よりも格段に監督としての腕を上げてきたブラットリー・クーパー。モノクロ、長回し、画角変化など多角的に見せる技巧が光っていた。
逆に集中できない、という声があるのも分かりつつも、スピルバーグとスコセッシに見守られながら、最大限にやりたいことを表現できた!という印象。

今作はレナード・バーンスタインの音楽家としてよりも妻フェリシアとの愛の話。
ある意味欲張りで自由奔放な生き方をしていたレナードに対して、不満を持ちつつ常にそばで支え、家族を守る母親であり続けようとしたフェリシアの葛藤。
ぶつかり合いながらも、フェリシアがようやく彼の”人への愛”を感じることができたあのシーンは思わず涙。
迫力満点の演奏シーンをやってのけたブラットリー・クーパーと、複雑な感情を表現したキャリー・マリガンの迫真の演技が素晴らしい!
6分間ノーカットの指揮シーンは、このために6年間修行したのも納得できるほど鬼気迫る演技。
最後の最後まで、この映画はフェリシアの物語だと思う。

🎼🎹

1本目 / 2024
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