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ニモーナのKHのレビュー・感想・評価

ニモーナ(2023年製作の映画)
3.9
2024年度の年間ノルマ70本中18作品目。
見させて頂きました。

なかなか長きに渡る重めの邦画強化月間からの精神状態から立ち直れずに、リハビリのためになるべくファンタジー要素を体に取り込もうとザッピングをしていたところ、こちらを発見し、昔見た『ヒックとドラゴン』の様に侮ってたら超絶名作のフレーバーを感じて、娘と一緒に視聴することになりました。


また、内容に関しては全くわかってません。

まずはネタバレなしの率直な感想をば述べます。

『めちゃくちゃおもろい。短い内容の中にしっかりとした世界観とストーリーが盛り込まれており、話もわかりやすく、没入感もあり、すげぇいい話でした。もしNetflixに入ってるなら必見の作品です。
娘は小学校一年生ですが、しっかりと理解できたかはわかりませんでしたが、それでも
このショートYouTubeに慣れてしまった世代の娘が相当集中して見ていたので
ちゃんとおもろいものはしっかりと見てくれるんだなと納得しました。
とにかくお勧めできる一本です。』


なかなかこの手の『何もいうことのない』ぐらいの作品のネタバレ感想は難しいんですが、良いところ等を話していければと思います。

そしてここからはネタバレを含む感想になりますので、ご注意を、


まず、主人公のバリスターと、アンブロシウスが友人同士ではない恋人関係であるという点は個人的に何故その様にしたのか引っかかるポイントの一つでした。

例えば、昨今の多様性の煽りからその様にしなければならなかったとかだったらまぁそれ以上言うことはないなぁと思うのですが、

バリスター、もしくはアンブロシウスのどちらかが女性でも成立するお話ではなかったかな?と感じます。

男女の差別をなくすと言うならば、バリスターが作中で名家の出自でない事で騎士になれるかどうかというお話もあったので、この世界では出自の差別はあれど、
同性同士の恋愛についてはどうなのだろう?というのは少しだけストーリーにノイズになってしまわないか?とか気になりました。
物凄い冒頭なだけに、

また、恋人同士のアドバンテージの様なシーンや、そうでなければならなかった様なシーンは特になかったというか。。
まぁ、愛する者の腕を切り落としたみたいなのはあったのですが、すぐに義手を付けていたのでそこにはあまり比重がないというか。
また、ニモーナとアンブロシウスのどちらを選ぶのか?という様な選択肢もないし、
これであればライバル関係でも、もしくは
どちらかが女性でも成立したなぁと思いましたので、多分時代的なアレなのかなと感じます。

まぁでもただ少しだけ気になっただけで、点数が下がるほどではありません。

何と言っても、ニモーナの過去回想で彼女が遊んでた女の子が英雄グロレスだとわかるシーンには打たれましたねー。。
そう来るのかと、しかしというかやはりというか、作品のテーマが差別を扱うと
この展開は言うまでもないのですが、この世界ではずっとそういう歴史を語ってきたので
それが『人間ではない』のであれば
危険になってしまうのは仕方がないのかなぁと思います。

僕ら見てる側はニモーナに既に感情移入してしまってるのでそれは良くない‼︎という気持ちになりますが、これは仕方のない部分でもあり、
ではあなたは元犯罪者の横に家を建てられますかって話であり、
予測される危険はなるべく事前に排除しなければというのがまぁ常識的な考え方である。


無論、今作はそういうテーマの作品ではあるものの、結果としてはニモーナはモンスターと化した後でも殆ど街を破壊してはおらず、
せいぜい巨大ビジョンを倒した程度だ。

また、それよりも街の住人を殺そうとしているのはモンスターを攻撃する流れ弾や、二次災害を発生させている騎士であり、また
校長に関して言えば街を崩壊させる程のビームを撃とうとしているのでこれに関しては弁明の余地がない。

校長は根本的には血筋至上主義であり、歴史を変えようとした女王暗殺を実行した犯人で、バリスターは利用されたに過ぎない。

ただ、正直言えば、バリスターは殺す理由がないと言えば全くない。捕縛されても、
自分が騎士に選ばれなければ恨みを持って復讐と称して女王を暗殺は理由があるが、

彼は名家の出自でないにも関わらず栄誉ある騎士に任命されているので、殺す理由はないのだ。そこの矛盾にアンブロシウスがなぜ気がつかないのか?とは正直思った。

科学の進歩した街にも関わらず、壁の外の情報がないのも正直ピンと来なかったので、シンプルにこの街の住人はかなり鈍いというか、自分で何かを考えることができないのかもしれない。

バリスターが騎士になること自体も、雰囲気的には否定的ではあるものの、
女王の騎士任命式での発言で考え方がかなり変わったところを見ると、すごく単純だなと感じました。

しかしながら、ニモーナは本当に魅力あるキャラクターであり、差別や偏見を持つ人を、
『別に関係なくない?』と本当に信じているのは見ていて清々しいというか、

そうよな。人種とかで人を判断したらあかんよなと改めて思えてくる。

例えば僕は喫煙者なのだが、それだけでも一定数俺のことを否定的に見る人がいるのは、一部にマナーを守らない人が浮きぼられてしまい、その人たちと同類とされてしまうからなのだが、
そのこと自体は理解しているが、先入観だけでそんな人たちと同類と思われるのは心外であり、
悲しい事だなと思います。

自分はなるべく人は個人として捉えて、いくら主義が違う場所で育った人だからと言っても、全体がそうとは捉えない様に心がけたいなと感じました。

それにしてもニモーナの声はクロエがやってるんですね。

今回はこの辺にします。
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