やや優等生すぎかなと思ったがやっぱりエモかった一夏の成長物語。
予告編やポスターから絶対好きなやつと思っていた本作を見に行ってみた。
まず本作は大家族の末っ子を主人公にした話で、ガサツな父親と育児に大変な母親、そして歳が離れすぎた姉妹たちという環境が寡黙で内気な主人公を形成するという環境要因が映像で語られる。家でも居場所が無く、学校でも友達いないし挙動不審な主人公の姿にめちゃくちゃ共感し泣きそうになってしまう。
しかしそんな主人公には一夏を親戚の家で過ごす冒険が待っていた、優しいおばさんと突き放したような感じがするが実は優しいおじさんとの三人暮らしが主人公の心を徐々に解きほぐしていく。いやほんとうに大きな物語は起きないし小さな積み重ねが少女をゆっくり解放させていく、個人的に大好きな"メイジーの瞳"や"パーフェクトノーマルファミリー"みたく少女の内面に寄り添った語り口とかめちゃくちゃ良い。
だが心に安らぎを与えるのにフォーカスし彼女の生きづらさにあまりフォーカスしないのがやや優等生すぎかなと感じた、あくまでも心の解放に集中した脚本は確かに明るくていいけど個人的にはもっと彼女の生きづらさを見たかったなと思う。
しかしラストの感情が爆破する疾走とハグのエモーショナル爆発編集には流石に涙、やっぱりそういう演出されると弱い。こういった作品にはお決まりなんだがやっぱり王道のエモーショナルエンドに拍手。
あと少女映画として夏の眩しい太陽光がキラキラしまくりで、けっこう左右対称が映えまくる絵作りが美しすぎて映像に関してはけっこう大好きな部類でした。わりかし"ミツバチのささやき"リスペクトか？と感じるビジュアルにも出会えて良い映像体験にもなったな。個人的にあとからジワジワくる作品かも。
