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パスト ライブス/再会のスズキのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
3.2
いまいちだった。
過大評価では。

これは自分の中の差別心の現れなのだろうけど、終始誰を取りあってるねんという部分で醒めてしまった。

主演が美男美女ではないというのがこの作品の現代性であり新しさであり狙ったリアリティなんだろうけど、なんでこんなよく知らないし興味も持てない人の恋愛のうだうだに付き合わないといけないんだ、という疑問が終始まとわりついた。

キャラの魅力って必ずしも外見は必要ないわけだけど、この主演の人には最初から最後までまったく興味が持てなかったし、そういう魅力的な描き方をしようとも思ってなかったように見えた。
あとで調べたら監督の自伝的要素を含んでるらしくて、そらこういう描き方になるわな。自分自身に対して興味があるのは当然だから。

外見が40オーバーの俳優がそのまま学生パートを演じるんだけど、どう考えても不自然なのにそこが長いしやたらとアップを多用する意図がよくわからなかった(目線を追うにしても)。寄ったらダメだろうし、前髪作るだけでももうちょっと印象はリアルになるのに意図がよくわからない。
俳優の年齢にケチをつけたいわけではなく、ミスキャストだということ(監督からすると、主演の女性が少女に見えるそうです…)。

いくらまだ若いとはいえ、そんなに会いたいなら会えば良いだけだし、理由つけて合わなかったのは、そこまで会いたいわけではない(もしくはフラれたり関係性が壊れるのが怖い)以外に理由なんてないだろうし。機微はわからないではないし、身に覚えがないわけではないけど、何美談にしてるねん、ていう。

作中で縁がどうちゃら語りたがるけど、会えたはずじゃん。何が運命だよ。会いたい人には会いにいくんだよ。それ以外に答えなんてあるわけないじゃん。目を覚ませよ。

なによりも現夫がかわいそすぎる。
幼馴染2人は後悔を抱えているとはいえ、幼少期の引っ越しを除けば、最初から最後まで主体的に行動してるけど、あの夫だけは終始紳士的であるものの、あくまで「そう振る舞わざるを得ない」形で全ての行動を強いられてる。マジでかわいそすぎる。どこかでちゃんと報われてほしいし、あの夫と友人だったら早く別れた方が良いとアドバイスするかもしれない。

絶賛してる人たちは、主役2人の視点から見ている印象だけど、その目線も当然ありつつ、夫であるアーサーの目線も想像することが、大人になるってことなのでは、私がA24が嫌いなのは幼稚だからなんだけど、この作品も幼稚に感じた。

あとやっぱ自分自身が小市民だからこそフィクションの中では普通の人が超えられない一線を超えてほしい、という欲望があるのだけど、結局それもなし。
清潔で倫理的に正しい映画が面白いわけないよね。そういうのが好きな人もいるだろうけど、自分はそうではないので。

この辺の自己憐憫にうまくハマれる人は楽しいんだろうけど、このストーリーにするならもっとうまく武装してくれ、という気持ちになる。こちらもお金を払って見に来てる以上、それなりに騙されるつもりはあるのに、自己憐憫が強すぎて全然溺れられなかった。

A24が制作に入ってるわりにはちゃんとしてたけど、やっぱり合わないな。
A24はクソ説が今回も立証。

登場人物の誰かを好きになりたかった。

幼少期に両思いだった二人が大人になって再会するけど付き合わない話。
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