スズキ

ソウルフル・ワールドのスズキのレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
4.4
素晴らしかった。
要素がモリモリで理解しきれてない部分も多数だけど。

テーマは生き直し。
最初の方はなんで実写じゃないのかわからなかったけど、生きたくない少女と生きたい中年男性の組み合わせって実写だとキツいだろうから、アニメで良かった。

言ってみれば擬似子育てなんだろうな。
やりたいことができなかった、人生に物足りなさを感じてる、奇跡的に夢が叶ったのに満たされない。
そんな誰もが抱える後悔や不満が、死と生を巡る1人の少女との対話を通して拾ったガラクタ(とかアマチュア演奏家とか価値がないと思われてるもの)が引き金となって人生に輝きが溢れはじめる。このフラッシュバックのシーンはエゲツないほど素晴らしかった。

上記のような体験を実際の子育てでやろうとするのはシンプルに暴力。だって子供という他人の人権を侵害する恐れがあるから。だからこそそれをフィクションでやるところが良かった。

足元に気をつけることと、自分の人生を注意深く見ることがリンクしてる。

死後の世界とかだいぶスピってたし、死からの復活とか、入れ替わりとか、途中不安になる要素はたくさんあったのに、まんまと感動してしまった。

ジャズを使うならもっと演奏見せてよとか、あれほどのじゃじゃ馬が急に真摯になってるキャラの不安定感とか、何万年も管理してたような世界であんな簡単にこぼれられるわけないだろとか、死後の世界がアバウトすぎるとか(まあこれはピクサーなりのユーモアとか皮肉なんだろうけど)、本当に甦って良かったのかとかツッコミどころは満載でしたけど、良さがうわまってた。

最初に性格が決まってしまう描写はユーモアなんだろうけど危険だなとも思いつつ、まあそれだけではなくて、複数の要素がその人を決める以上、将来的な変化の余白であるのかな。

監督名を知らなくて『インサイド・ヘッド』ぽいなと思ったら監督同じだった。ピート・ドクターに一生ついていきます。

改めて、これほどの傑作を後悔時に劇場でかけなかったディズニーに怒りを感じた。ディズニー滅びろ。少なくともピクサーとは縁を切れ。

中年の夢見るジャスピアニストが、臨死体験をきっかけに人生を取り戻す話。

色々書いたけど、複雑でまだよくわかってないところも多いのでもう一回映画館で観ます。
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