toshi

夜明けのすべてのtoshiのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
5.0
最近はネトフリのオリジナルばかり見ている私ですが、久しぶりに公開を楽しみにしていた邦画を本日鑑賞。
素晴らしかったです。と共に改めて自分は邦画好きなんだなと実感致しました。

PMSという精神的症状の病を患う上白石萌音さん演じる藤沢さん。そしてパニック障害という同じく精神的症状の病を患う松村北斗さん演じる山添。二人はそれぞれ異なる企業から光石研さんが社長演じる栗田化学という中小企業に入社。互いに違う病気で悩んでいるが、相手を助けることはできるのでは?と距離が近づいていく・・・。

距離は近づいても付き合うとかではなく、また予告でも山添が言っていた様に男女の友情を語り合うわけでもない。で、同僚にしては距離が近いのですが、藤沢さんと山添の距離は互いが患う病気によって保たれる絶妙なものだと思いました。
最初はぎくしゃくですが、これまた予告にある山添の髪を藤沢さんが切るシーンから一気に距離が近づきます。あのシーンって今作の中で結構重要だったんですね。
二人で話したり過ごしたり、仕事したりするシーンは一見何の刺激もない若い男女のやり取りに見えるのですが、伝わる人には二人の数々のシーンをいつまでも見ていたいと思うのではないでしょうか。

また二人の周りに存在する人達が人ととして立派すぎます。栗田化学の社員は社長含めて皆良い人達ばかり。辛い病気を抱えている人には本当に救いの場所だと思いました。
そして山添の前職場だった時の上司、渋川清彦さん演じる辻本も素晴らしい人でした。パニック障害発症後、無気力となった山添を支え続けますが、栗田化学の人達や藤沢さんとの出会いでやりがい感じる仕事の話をしている山添の姿を見て涙する辻本を見たときは「良い上司だなぁ」と私も思わず涙ぽろぽろ落としてしまいました。

エンドロールのバックに映る風景が優しいのも良き。
ケイコ目を澄ませての三宅監督らしい世界観の作品でした。
toshi

toshi