魚さかな

夜明けのすべての魚さかなのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
3.8
2024年3本目
 PMS(月経前症候群)で会社を辞めた上白石萌音とパニック症候群で会社を転籍した松村北斗が、プラネタリウム玩具を製造販売する会社に勤める同僚として出会い、それぞれの持病と向き合う。
 上白石萌音が松村北斗に持病で良かったことがあるかを聞く場面。そこで結論は出なかったものの、自分の持病を受け入れて、互いの持病を受け入れる。そういう日常が伝わった。
 社長の光石研の設定が良かった。弟を自殺で亡くした過去を持ち、同じ境遇の遺族と語り合うサークルで、木の枝のようなバトンを持ってから発言する場面。遺影に日本酒を供える就業後の日課。苦しい体験をした人こそが弱者を受け入れられる様が伝わった。
 光石研の亡き弟 斉藤陽一郎も、カセットテープの声と遺影だけで人となりを感じられて良い演出だった。社長弟が書いた手帳の原稿を、移動プラネタリウムのラストで上白石萌音が朗読するシーン。明けない夜は無いという例えの地学的な説明で、救われた気持ちになった。
 二人に恋愛要素が無い関係性が良かった。改善点が思い浮かばない程の良作。
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