魚さかな

ほかげの魚さかなのレビュー・感想・評価

ほかげ(2023年製作の映画)
3.5
 終戦後に生き残った、人と人の出会い。趣里が兵隊と孤児の3人で暮らす。森山未來が孤児を従えて行動を起こす。孤児は闇市で一人で生きる術を身に付ける。
 登場人物がお互いを名前で呼び合わないところに孤独を感じた。
 戦地から生きて帰ってきた後のメンタルへの影響が描かれている。銃声に怯えたり、就寝中にうなされたり、座敷牢に入れられたり、虚無感から何もやる気が起きなかったり。今のウクライナも同じなのだろう。
 闇市の奥、ホームレスの溜まり場に行く途中の傷痍軍人の物乞い。1983(昭和58)年に新宿駅西口の小田急と京王の間の地下道で、同じ光景を見たことがある。千羽鶴や軍旗を置いてラジカセで軍歌を流して、片腕の無い人が募金箱の前で土下座していた。1991(令和3)年の都庁移転時には居なくなっていた。
 場面が家の中・里山・闇市の三部作のようになっていて、趣里と森山未來の共演シーンが無いので、物語の連続性が薄く感じた。
 キネマ旬報の主演女優賞なので鑑賞。調べたら、同じくキネマ旬報の新人男優賞に塚尾桜雅、2015年生まれ史上最年少受賞とのこと。2024年8本目
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