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夜明けのすべてのkahoのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ほんとうに上白石萌音ちゃんって素敵だな。彼女の、特に声が大好きです。

鑑賞中、色んな人のことを思い出した。適応障害から復職をめざす後輩をサポートしきれなかったこと、育児との両立に悩む部下のこと、希死念慮と共に生きている友達のこと、ライフステージの変化に伴うストレスと戦っている妹のこと、心身の不調の度に数年前の酷い抑鬱期の再発に怯えている自分のこと。

「助けられることはある」っていう言葉と、助け合う人々の様子に、私が救われた気分。もしかしてこれから先も大丈夫なのかもしれない。
自分と世界の良心を信じて。その人の苦しみを想像することを忘れないで。寄り添う姿勢を行動で示して。簡単なことじゃないけれど。栗田科学の社訓にもありましたね、「想像する心」「創造する力」。

この話の好きなところは、山添くんと藤沢さんが、互いとの交流を経て、違う場所でそれぞれ生きていける自分を手に入れたところ。互いを人生における唯一の存在として見出して劇的な展開を用意したり、男女の心が通う様は性愛の“成就”への入口にすぎないかのように扱ったりはしなかったのが好き。
そして、人が人を思う気持ちを素朴に映しとるまなざしがずっと優しいところ。助け合い生きる優しい人々を、敬意をもって愛おしく肯定していなければ撮れないよね。

お姉さんと同じことを繰り返さないため、こまめに気にかけていた部下が、生き生きと前を向いて仕事に取り組んでいることがわかったら、そりゃあ泣いちゃうよね。
辻本さんがどんな思いで山添くんを栗田さんに預けたのか、考えるだけで胸が苦しいよ。

余談だけど、自転車に跨がろうとするほくちゃんの、なんと脚の長いこと!
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