つかれぐま

ツィゴイネルワイゼン 4K デジタル完全修復版のつかれぐまのレビュー・感想・評価

4.0
23/12/1@ユーロスペース❶

時が止まった静かな劇場で
珍しいスタンダード画角。
異世界から生還したような不思議な感覚。昨夜は悪夢にうなされた「初めての鈴木清順」

中砂という無頼漢は、結局「文弱の徒」青地にとってのワナビーな存在なんだろうな。そもそも存在しない虚像かもしれない。もしや『ファイトクラブ』の元ネタ?と思ってみていたら、まさかのラストで全てがひっくり返る。そういえば、あの時の、あの台詞は、ここに呼応しているのか!と振り返れば増していくホラー感。

蠱惑的なダブルヒロインも対比される。
縛られた女と解放された女性は、ちぎり蒟蒻と水蜜桃の違いか。終盤で中砂の後妻が青地邸を訪れ始めるのは、幻想が現実に侵食してくる怖さだった。最後にはどちらが現実なのか誰にも分からなくなるのだが。