唯

春のめざめ -名作ブロードウェイ 再集結の舞台裏-の唯のレビュー・感想・評価

3.5
出演者と役柄がオーバーラップすることによって、作品に更なる深みを生んでいる。
そうした背景を知ることが出来るのは、ドキュメンタリーの豊かさでもあるが、15年の時を経て当時を振り返る形であることが大きいだろう。
上演当時は、自身のパーソナリティや性的指向や拭えない傷について言語化できなかったけれど、時間を経過した今だからこそ話せることがあるだろうし。

10代の思春期の只中にある演者が、未熟でぐちゃぐちゃの不完全な自分を晒して叫ぶことに価値がある。
演者も作り手も全てが一体となって若者の気持ちに寄り添う、、これこそが演劇の存在意義であるし、その役割は偉大である。
1800年代の教育の歪み、キリスト教における性の在り方、それに反発する形でほとばしる性欲。
劇団四季で観た時はまだ処女の高校生で、演出のショッキングさにしか目が行かなかったが、今改めて観たい作品だ。

それにしても、俳優達のタフなフィジカルとメンタルにはとにかく敬服する。
歳を重ねるごとに賢さと要領を手にして行くが、それと同時に手放して二度と手に入らないものもあることを考えると、やはりその年代でしか表現できない世界はあるのだ。

ジョナサン老けたなあ。。
唯