唯

裏窓の唯のレビュー・感想・評価

裏窓(1954年製作の映画)
3.9
他人の生活を覗きたいという願望は、誰しもが秘めて持っているものだよね?あなたもよね??とえぐい程に問い掛けて来る。
殺人事件にまつわる話なのだけど、あくまで覗きの視点のため、重苦しさがなくライトでコミカルに映るのが妙である。
他人のことは平気で覗いているのに、自分も見られているとは思わないのが人間の滑稽なところだ。

裏窓から他人の生活を覗く彼らだが、彼ら自身にも人生があってストーリーが展開して行く構造も見事。
ジェフは恋人のリサのことを軽視していて(金持ちのお嬢様で中身すっからかん的な見方!)自分の人生に深く介入されることを拒んでいたのだが、この事件に関わり始めてから二人の関係性は推移して行く。
リサは実は根性とガッツがあるタフな女性であるという一面を知り、そんな彼女を見直して行くのだ。
独身を謳歌し何にも縛られずに自由で居続けたい男と、将来を考えた付き合いがしたいと現実を見ている女と、その二人の様相もまた、どこかの窓からショートして覗き見されていることだろう。

グレースケリーのファッションショーを見ている様でもある華やかな衣装と美貌も必見。
唯