唯

深夜の告白の唯のレビュー・感想・評価

深夜の告白(1944年製作の映画)
4.2
ロードムービーの様な、行き場のない男女の逃避行劇。
男女の間に完全に対等な関係など存在しない。
秘密の共有は絆を固くするが、そのゴールは破滅しかあり得ないというのもセオリー。

二人の間で本物の愛情など交わされない。
そこにあるのは、見せかけの性欲と傲慢で独りよがりな欲求のみ。
キーズも含めた三方で交わされる駆け引きは、無関係の第三者としては野次馬根性的にも目が離せなくなる。
自分本位の感情のみで動く彼らが、互いに相手を見くびり騙し騙され合いつつ、だけれど自分が思うより相手は上手であったりする。

そもそも、出会った途端に殺人依頼を匂わせるなんて、初めからそれ目的だと冷静に考えれば分かるのに、恋は盲目。
最後の涙も演技だったのだろうか。

死にかけでタバコをふかすところまで品があり過ぎる!
ビリーワイルダー、好きだなあ。
唯