唯

見知らぬ乗客の唯のレビュー・感想・評価

見知らぬ乗客(1951年製作の映画)
4.2
頼んでいないのに勝手に交換殺人を実行されるとか恐怖でしかない。
殺人トリックの話に興じるのは、誰もそれを現実として捉えていないからだ。
架空の話だということを当たり前の前提としているのに、そこが人とは異なるブルーノの恐ろしさ。

ガイの妻はとち狂っているからガイの憎しみは理解できるが、ブルーノの場合は認知の歪みが大きい。
実家にパラサイトして恐らくまともに働いていないのに、親に対する理不尽な不満を募らせる。
精神障害なのか発達障害なのか生い立ちの問題なのかは不明だが、サイコパスであることは間違いない(コミュ力は高くてプレゼン上手だし)。
殺した相手を思い出して失神してしまう辺りは人の子だけど。

ガイは利益だけ享受していれば良いのに、唆されて殺人を起こすのではないかとヒヤヒヤ。
実現する気が全くない上辺の話なのにそれが殺意の立証にはならんだろ、、
だけれど、ストーキングなどによって精神的に追い詰めて行かれてマインドコントロールされそう。。

冷静に考えれば、警察を信用して警察を味方につけて共にブルーノを追い詰めるべきではと。
正直に打ち明けて良いのにねと思うが、その立場に立つと余計な緊張と不安に駆られるのだろうな。
防犯カメラもない時代だと、犯罪がしやすい反面アリバイを立証するのは難しいしね。

夢に出てきそうなブルーノの気味悪さ、試合展開と同時進行させての緊迫感の出し方が素晴らしい。
こんなにアナログなのに派手なのが凄い。
特殊効果なんかよりよっぽど手触りがあって切迫感がある。
思わず声に出てしまう驚きやショックが散りばめられている。

ブルーノの怪奇っぷりで最後までハラハラさせられた〜
変な人に目をつけられたら人生棒に振るなあ。

ガイはジュリアロバーツ、ブルーノはビル・マーレイ、アンは大地真央に似ていた気がする。
ガイの妻が瓶底眼鏡の不細工おばさんなのに、イケメンで優しい夫のことを見下し侮蔑しまくるのは何故なのだ、、一番腑に落ちないポイント。
唯