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碁盤斬りのmityのレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
5.0
堅苦しそう、分かりづらそう、難しそう。時代劇が持つネガティブなイメージが全く当てはまらなかった本作。本当に素晴らしかった!!

「萬屋けち兵衛」「人でなし」と、子どもたちにまでからかわれる程の源兵衛が、正々堂々・嘘偽りのない格之進の碁に魅せられ、仏の源兵衛へと変化を遂げていく様が、まるで乙女のようで(笑)、可愛らしかったなぁ。碁盤持ってくる姿なんて、子どものようだったよ。

そんな源兵衛を変えた、格之進の碁。つまりそれは格之進の人となり。正しくあろうとした格之進のその姿勢は、一方で自身の苦悩にもなっていて。仇討ちに燃えるその反面、追いやられた者たちに心を痛める格之進の姿はラストに繋がっていて、格之進はそれでもやはり正しくあろうとせずにはいられない性分なんだろうなと思った。

冤罪事件の真相を知ると同時に、あらぬ嫌疑をかけられた格之進。50両とは、現在の貨幣価値だと大体500万円程だそうで。その50両のせいで、お絹は自分を犠牲にすることを選び、その50両のせいで、弥吉は心を痛めることになる···何か、徳次郎にイラッとしたな。徳次郎も格之進から碁を学べば良かったのに。

大雨の夜、貧乏長屋暮らしから一転して運命が動き出した夜。そこからの格之進の表情の変化が素晴らしく、そして同時に、傍らに左門がいてくれて良かったなとしみじみ思った。


#2_2024
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