コーディー

12日の殺人のコーディーのレビュー・感想・評価

12日の殺人(2022年製作の映画)
4.2
12日の夜、クララが殺された理由。
その容疑者として浮上する男たちの侮辱的な証言、誰もが動機を持っていそうなのに決め手のないまま、被害者にレッテルだけが貼られていく…
何も知らないのに一面的な評価で判断しようとする、事件の真相よりも人間の潜在的意識の闇に迫る展開が恐ろしかった。

容疑者だけでなく偏見に塗れた警察の体質にもウンザリな捜査班長ヨアン。理想や思想に縛られながら、もういないクララについてパズルをはめていくも一向に真実には辿り着けない…
そんな未解決の闇を男女間の意識の壁を軸に描いたり、数少ない女性の存在が事件に多角的な視点をもたらしていくのも興味深かった。

それらしい容疑者が出てくる度に自分の物差しで測ろうとするけど、結局何も掴めないどころか捜査が進む程にクララの存在が曖昧になっていく。
そんな出口の見えない物語なのにグイグイ引き込まれたし、見えるものの限界に気付かされる感覚が恐ろしくもあり、快感でもあったw

と、まあ一面で判断することに導いてるような容疑者の態度とか、競輪場で自転車を走らせる主人公もそうやけど、やや作為的というか、そつがなさ過ぎるのは気になるとこやけどw
『悪なき殺人』と同様に、やや過剰なフィクション感込みで魅了してくるドミニク・モル監督の作風はやっぱ大好き!