CINEMAと暮らす

12日の殺人のCINEMAと暮らすのネタバレレビュー・内容・結末

12日の殺人(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

クライムサスペンスかと思いきや、リアルな警察のお仕事ムービー。殺人事件の捜査を担当するのが警察なのか、憲兵隊なのかという地方ならではの緩みから始まり、コピー機が詰まる、同僚の独り言がうるさいなど、細かいイライラが積み重なっていく。

少女が殺されたことによる悲しみと向き合うために働くのか、殺人事件を解決するために働くのか。この2つは似ているようで違っている。捜査が難航してイライラするのは同じだが、前者の場合、遺族や自分の悲しみに従って動いている分、気持ちの折り合いがつけやすそうだが、後者の場合は、事件解決が唯一のゴールになる分、結果が伴わないことへの苛立ちが大きいだろう。

ベテラン刑事マルソーは少女の命を奪った犯人を捕まえたい一心で動くが、少々行き過ぎた言動をとってしまう。ヨアンは現場の責任者として、暴走気味のマルソーに怒りを覚える。数年後、マルソーが現場を離れ、スーパーエリートの女性刑事が赴任する。現場に女性が入ったことや、女性検事による公正中立な視点での再捜査の進言で捜査は新たな局面を迎える。

被害者の命日に現場の張り込みをしていたヨアンは、被害者の両親が現場で泣き崩れている姿を目撃する。犯人は見つからず、事件は解決していないが、悼み続ける人たちが居ることを悟ったヨアンは働く目的を見出すのだ。