ナーオー

ドミノのナーオーのレビュー・感想・評価

ドミノ(2023年製作の映画)
4.0
今年の"午後ロー枠"!!!

『スパイキッズ』や『シン・シティ』など人工的に"構築"した世界を描いた作品を何度も手掛けてきたロバート・ロドリゲス監督。最新作の『ドミノ』はロドリゲス監督の集大成のような作品でした。

監督と脚本だけではなく、製作や撮影、編集なども担当することが多いロバート・ロドリゲス監督が構想20年と語っている通り、肝入りの作品だったことが伺えます。しかしいざ製作がスタートするとコロナの影響で予定されていた撮影が何度も中止になり、撮影期間も大幅に削減してしまい、テキサスでロケも中断して、大半をロドリゲス監督が所有している映画スタジオ内で撮影を行われるなど製作段階での紆余曲折があった作品。

だから特に後半パートでは説明台詞が多くて惜しいところがあるもの事実。

しかしロバート・ロドリゲス監督のデビュー作『エル・マリアッチ』は本作『ドミノ』よりも超低予算。『ドミノ』よりも色んな意味でキツい状況下で完成させた技量と経験を持つロドリゲス監督にとっては慣れっこだったに違いない。説明台詞の多さなど惜しいところもあるとはいえ、かなり綺麗に纏めていると思いました。

まず、予告や事前情報などでなぜかノーラン映画、特に『インセプション』や『テネット』などを引き合いに、本作『ドミノ』を酷評している人がいますが、そもそも『ドミノ』はそれらの作品とは全く異なるタイプの映画です。共通点は"洋画"ってくらいの別物なので、それらを比べるのはマジで意味不明……

さっきも言った通り、ロバート・ロドリゲス監督の構想20年の作品。監督曰く、アルフレッド・ヒッチコックの『めまい』をヒントにしたと言っていますが、個人的にはヒッチコック映画と言うよりも1990年代後半から2000年初め頃に作られた『スネークアイズ』や『ファムファタール』などブライアン・デ・パルマのB級快作映画を思い出す、どこか懐かしい気持ちになりました。

またテンポが速さが素晴らしい!
実はこの部分は本作の"秘密"への伏線になっているなどロバート・ロドリゲス監督の工夫に感心しました。"構築"された世界だからこの速さ。『シン・シティ』や『スパイキッズ』など人工的に"構築"された世界を何度も作ってきたロバート・ロドリゲスの集大成でした。

でもまぁ… チープなところは本当にチープ… 2023年になってあんな画を観れるとは思ってもいなかった笑

ただしこれは狙った"安さ"だと思う。

そもそもロバート・ロドリゲスって『スパイキッズ』シリーズの監督なんだから… 完全に意図的だと思います。

個人的には『デスペラード』、『プラネット・テラー』、『マチェーテ』路線のロドリゲス作品の方が好みですが、本作『ドミノ』はロドリゲスの新たな一面を見せてくれたのでとても楽しかったです。

こういう規模の丁度いいB級快作を毎月1、2本映画館で観たい!!と思わせてくれる映画でした。
ナーオー

ナーオー