シネラー

攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間のシネラーのレビュー・感想・評価

3.5
Netflixで配信された
「攻殻機動隊 SAC_2045」のシーズン2
を纏めた本作を劇場鑑賞。
(3週間限定公開なのでギリギリ
観に行けて良かった。)
前作と比べてSF要素の難解さが増し、
それでいてアクションが多い事での
満足感がある後編だった。

ポスト・ヒューマンを追う
戦況が次第に深刻化していき、
公安9課とポスト・ヒューマンに
アメリカ政府という三つ巴の駆け引きが
描かれていくが、
駆け引き以上に終盤でのどんでん返し
とも言える展開で更に複雑化する
内容だと思った。
中盤までは前作同様に
ポスト・ヒューマンを追う展開だが、
終盤になるにつれて
難解なキャラの対話が多くなっていき、
初見では考えが纏まらない位の
SFとなっていた。
しかしながら、世界の根本から
疑ってしまうような終盤は
興味を引かれる内容でもあり、
最後の素子の決断に付随する考察に
"最後の人間"というタイトル回収が良かった。
結末はシリーズの終焉を感じさせるが、
過去作へのオマージュと合わさって
寂しさもあるエンディングに感じられた。
アクションにおいても激しい格闘戦から
銃撃戦にカーチェイスが描かれており、
前作同様にモーションキャプチャーを
使用している為に挙動がリアルな上で
素早くて格好良かった。

しかしながら、前作終了時点で失踪した
トグサがあっさり9課と合流し、
その失踪している間の描写も明確に
答えが出ないのは気になる部分だった。
そこの関連で言えば、
トグサがポスト・ヒューマンである
シマムラタカシに感情を寄せる
理由が前作から観ても理解しづらかった。
そのシマムラタカシに関しても、
新キャラの出番としては公安9課の
江崎プリンに偏っているバランスな為、
もっと前者の描写が欲しいと感じられた。
前作で描かれていた彼の過去回想が、
特に本作で掘り下げられもしなかったの
は悪い意味で意外だった。

全体的には風呂敷が
歪に畳まれている印象もあるが、
しっかり「攻殻機動隊」らしい
落としどころは良いと思った。
最終的にネットの広大さよりも
世界そのものの広大さを体感でき、
人の在り方をも問われる内容だった。
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