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さらば、わが愛/覇王別姫 4KのHOHOのレビュー・感想・評価

4.6
映画が終わって映画館を出たら、どっと疲れが出て、肩が痛くて、自分がどれだけ体に力を入れていたか気付いた。
京劇役者の蝶衣を見つめるうち、その生き様をただ見守ることしかしていない自分ですら緊張していた。
彼は本当に命を燃やすように、姫を演じて、覇王を愛して、自分の姿勢を貫いた。
命を燃やすとはよく言われる言い回しだが、彼ほどそれに合致する生き方もないのではないか。
だからこそ息を呑むほど一瞬が美しく、片時も目が離せない。彼が笑うとき、涙を流すとき、空気が瞬時に変わり、運命が変わる音すら聞こえてくる。
時代の変化に合わせる生き方は確かに賢い。伝統は時代にそぐわないとすぐ批判されてしまう。それでも残っているのは、言語化し難い魅力を燃えるような美に感じてしまうからだろう。
実在しない蝶衣に、そして今はもういないレスリー・チャンに、映画を観るならば目を逸らせないほどの生命を感じてしまうから。
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