HOHO

aftersun/アフターサンのHOHOのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
3.8
父と娘の関係は一筋縄ではいかない。
思春期を迎え、抑圧と捉えて父への反抗心が居残ることもあれば、干渉しないことを選んだ父と幼少期のままの関係を維持する娘もいる。
この映画の父は、娘に干渉しすぎることもないが無関心でもない。まだ幼い娘に強い口調で護身術を教え込むし、娘へのストレートな愛の言葉を伝えてもいるし、いい父親なんだろうなとは関係性を見て思う。
しかしそんな父も、娘との関係を取り払えばまだ若い男性であり、どうしようもない寂しさが漂う人物である。誰かからのストレートな愛を渇望しつつも、娘への愛を感じるアンビバレントさが、言葉なしに伝わってくる。
ビデオに映る思い出の中の父を見つめ直したとき、湧くイメージは不思議とその日の父の姿ではなく、人の多いダンスフロアに消えていく若いある男性で、手を伸ばしても届かない。
分かり合えた気がしたのに、真の意味では理解をしていなかった。その事実に気づくもの悲しさが胸に突き刺さり立ち直れない、そんな夏の映画である。
HOHO

HOHO