Sachika

白鍵と黒鍵の間にのSachikaのレビュー・感想・評価

白鍵と黒鍵の間に(2023年製作の映画)
3.8
指が弾み 心が躍る。
音楽を、ジャズを愛する人々の、幻の様な一夜。
夢を掴みたい男・夢を見失いかけてる男、それぞれの"今"が交差する時、そこに生まれる調和とエネルギー、カオス。

物語の構造の面白さ、ハッとさせる様な台詞。
鑑賞後の気付きや得るものがたくさんあって、上質な時間の中で多くの物を吸収できた様な感じがした。
それってつまり、わたしが思う、「古き良き品格のある銀座のクラブ」のイメージ。

昭和60年代 銀座。
この街の禁忌、それは『ゴッドファーザー 愛のテーマ』は一人の為だけに演奏される曲で、誰もリクエストしてはいけないし、ただ一人を除き演奏する事も許されない。
それを演奏することのできる敏腕ピアニスト南役を演じた 池松さんのピアノを弾くシーンも、煙草を吸う仕草も、色気があってとても良かった。
(一人二役だけど、南と博では圧倒的に南の方が素敵)

先に録ったピアノに合わせて指を動かす撮影でも、実際に池松さんが演奏(演技)されてるのだそう。
音に合わせて指を動かすのはかなり難しい筈なのに、池松さんの演技で問題がなかった為、他の方を使わないで済んだみたい。
相当な努力をされたんだろうなあ。
キャラクターでいえば、森田剛さんのどうしようもない小物感と渋さもすごくよい。

Odessaコラボの予告で本作を知ったのもあって、絶対に次は良い音響環境で観たいなと。
試写(ユーロライブの真ん中に置かれたスピーカー)では池松さんの低音ボイスが割れてしまうのも含め、勿体なくて…!
音が重なり合って 踊りたくなる様な、自然と耳を傾けてしまう様な、素晴らしい音楽の時間が生まれるシーンには、絶対に良い音響環境が必要。
また今回は冨永監督のティーチインのお陰でより理解が深まったのもあって、再鑑賞が楽しみ。
Sachika

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