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きっと、それは愛じゃないのsayuriasamaのレビュー・感想・評価

きっと、それは愛じゃない(2022年製作の映画)
3.9
現代的なテーマを内包しながら、古今東西の悩みと、意外なる(でも王道の)解決への道のりがやさしくて暖かい"令和のラブコメ"

filmarks試写会にて。ありがとうございます。
本作は有名女性映画監督を目指すゾーイ(リリージェームズ)がその幼馴染でパキスタン系イギリス人のカズ(シャザド・ラティフ)のお見合い結婚の様子をドキュメンタリーとして撮影しながら、自らの気持ちを見つめていくストーリー。

主人公二人の、もどかしい友達以上恋人未満の関係の進み具合もさることながら、本作一番の見どころは、カズの家族の持つパキスタン人の価値観についてのエピソードを興味深く観ることができました。親の決めたお見合いに疑問をもつゾーイに対し、渋々ながらも納得して前に進むカズ。親がしゃしゃり出てくる様子はさながら日本や中国など、他のアジア圏でも少なからずみられる光景で個人的には身近に感じました。
また、イギリスの文化になじんだカズ(とその両親)のアイデンティティー、パキスタンで生活してるカズの婚約者のアイデンティティーの対比も、王道過ぎるくらいな感じではあるものの、王道の安心感があるのも事実。

本作の「愛」の形には様々あって、タイトルや予告などからカップルとしての恋愛について掘り下げられてそうに思いましたが、家族愛の話も多くて、(とくにカズの妹のエピソード)そこにはすこしうるっとさせれれました...

リリージェームズの演技ははつらつとしていて、キュートで応援したくなる好印象。さらに付け加えると、母親役のエマトンプソンのパワフルマダムぶりも楽しませていただきました。シャザドラティフも知的で落ち着いた中、堅実な価値観があって絶対好きになる設定であざといけど、安心できました。

ところどころインド映画(ボリウッド)っぽいダンスや華やかさがあって、エスニックな雰囲気がありながら、ロンドンの景色も含めて、うまくウエスタンナイズされていて親しみやすい雰囲気の作品でした。ラブコメやプリンセスのおとぎ話の小ネタも楽しかったなあ。この時期におすすめのこころがあったかくなる作品でした。

おまけ:オープニング曲(Joy CrookesのKingdom)いい曲でマイブームになりました。
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