こなつ

きっと、それは愛じゃないのこなつのレビュー・感想・評価

きっと、それは愛じゃない(2022年製作の映画)
3.8
異民族が多く暮らすロンドンらしい結婚事情。レビューの評価は様々だがなかなか面白かった。ローマ映画祭で最優秀コメディ賞を受賞。11月16日にオープンしたkino cinema新宿で初鑑賞したくて選んだ作品。新しい劇場は、綺麗でスクリーンも観やすくて快適だった。

隣同士の幼馴染みの2人、一方が結婚すると知った途端、自分が気付いていなかった気持ちに向き合うという良くある展開のラブストーリーなのだが、、、宗教、民族、異文化などの問題が交差する。

ロンドンで母と暮らすゾーイ(リリー・ジェームズ)。隣人で幼馴染みの医師カズ(シャザド・ラティフ)の一家は、パキスタンからの移民。久しぶりに会ったカズが、お見合い結婚をすると言う。SNSやマッチングアプリが溢れ返っている現代、親の選んだ相手とお見合い結婚?そんな疑問を持ちながらドキュメンタリー監督のゾーイはカズの結婚までの軌跡を追いかけることにした。

パキスタンでは、お見合い結婚はまだ当たり前。ムスリムの結婚相談所で相手を選び、パキスタンにいる花嫁候補とリモートでお見合いして結婚を決める。自分のルーツや伝統を重んじるあまり、相手の事も良く知らないまま、育ってきた環境も価値観も違うのに、あっという間に結婚まで進んでしまう。この時代に結婚式まで本物に会えないというのだからビックリ。そんな中、パキスタンでの結婚セレモニーは驚く程華やかで、正に一族の大イベントなのだろう。

エマ・トンプソンが、ちょっとハチャメチャで味のあるゾーイの母親役を好演。シリアスとユーモラスさを上手く演じ分けていて素晴らしい。リリー・ジェームズはあんなに魅力的なのに、作品の中で出会うのはクズ男ばかり。折角ママがアレンジして上手く行きそうだった獣医さん、良かったのに何が気に入らなかったのか分からなかった。女心は難しいが、やはり心は既にカズの方に向いていたのだろう。

本当に自分の事をわかってくれる人は誰か、そばにいて安心出来る人は誰か、この作品は、結婚という大きな選択において教訓的な事も描かれている点では、コメディながら良く出来ていると思った。
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