レレレのお姉さん

STILL:マイケル・J・フォックス ストーリーのレレレのお姉さんのレビュー・感想・評価

3.9
パーキンソン病になったマイケル・J・フォックスが、過去と現在について語るつくり。
もう体や顔で演技をすることは難しいので、役者としては声でストーリーテリングすることで参加している。

過去のエピソードに話題が移ると、
今の彼が語り部となって「声」を、
代役は顔が映らないように当時の状況を再現して「体」を、
実際に当時彼が出演していた映像の一場面が「空気感」と「実態」を与える。

これによって、私たちがよく知るバックトゥザフューチャーの頃のマイケルが当時感じていたことを追体験したような感覚になるのだ…!

この緻密で繊細で大掛かりなパッチワークには感動せずにはいられない。
特に過去の映像の一場面の切り取り方が秀逸で、ドキュメンタリー上の流れに沿ったセリフ、声色、表情、仕草で当時のマイケルが演技してくれる。

たとえば、BTTFの撮影とファミリータイズの撮影を並行して3ヶ月半行って、それぞれの現場を1日に往復しながら怒涛のスケジュールをこなしたというエピソードでは、ファミリータイズのマイケルが「迎えの車が来たから行かないと」と言ったりする。

常に前進を目指して止まらずに動き続けたマイケルが、パーキンソン病になり体の動きや止めることができなくなったことを皮肉だと言っていた。
タイトル「STILL」は静止を意味してつけられたそう。

BTTFのマイケルJフォックスが大好きな私からしたら、当時の彼の新作が見れた気分になれる奇跡のような作品だと思った。

当然ながら80年代のアイドルだった頃の彼はもういない。
撮り下ろしは今の彼のカットとナレーションだけ。
それなのにこんな贅沢な体験ができるなんて…!
ドキュメンタリーの新たな可能性を見た。