レレレのお姉さん

笑いのカイブツのレレレのお姉さんのレビュー・感想・評価

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)
3.4
世間は不器用な人間に冷たくて、
不器用な人間はそんな世間を、自分を、愛せず笑えなくなる。

そんな人間にとって笑いは復讐だ。
法的に許された拳で、ツチヤは自分を殴り、壁を殴り、世間を殴る。
つまらないものは悪だから殴るし、
面白いものは正義だから存在を許される。

笑いは本来、人を愛しむ行為なんだと思う。
だから人は愛されたくて冗談を言う。

そういう苦しみを背負って笑いに縋っている点で「ジョーカー」とツチヤはすごく似ている。

人を笑わせなくても愛される自分に気づき、そんな自分を愛せるようになって、つまらない世間を笑えるようになることで2人とも救われる。

作中出てくる「人生は近くで見れば悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」というのはチャップリンの名言。
自分の半生を私小説にすることで、ツチヤが自分の人生を喜劇だと思えるようになってるといいな。