せんきち

恐怖の報酬のせんきちのレビュー・感想・評価

恐怖の報酬(1977年製作の映画)
4.4
カナザワ映画祭にて。


超有名な同名映画のリメイク。オリジナル版は未見だが、これはど傑作!

衝撃を受けると大爆発する大量のニトログリセリンを積んたトラックで目的地まで決死の旅をする。60-70年代の映画、アニメ、特撮で死ぬ程パクられたお話の元ネタがこれ。ただ、リメイクしてるのが『エクソシスト』のウィリアム・フリードキン。非常に宗教的なリメイクをしています。


序盤が良い。

高級ホテルのテラスで佇む男性。白いスーツの男が部屋に入り、男をサイレンサーで殺害する。白いスーツの男はナチの残党狩りだ。イスラエルで四人組の男が爆弾テロを起こす。警察との銃撃戦で三人が死亡。一人だけ生き残る。フランスの銀行の役員室。役員の一人が銀行の金に手をつけた事が発覚する。期限までに返済しないと警察沙汰になると警告される。男は義理の父から金をとろうとするが断られる。同じく犯罪に手を染めた義弟に「もう一度親父に頼むんだ!」とプレッシャーをかけるも義弟は自殺。絶望した男は逃亡する。大教会のミサの後、寄付金狙いの強盗が発生。殺すつもりがなかったが、仲間の一人が神父を殺害。逃亡の途中で車がクラッシュ。一人を残し仲間は死亡。しかも、殺した男はマフィアの幹部の弟だった。弟の仇とマフィアから狙われる男は国外逃亡する。


この四人の男が集まるのが南米ボルベニール。貧困と不幸と憎悪を煮しめた地獄の様な街。そこの油田で大規模火災が発生。火災を水で消火するのは不可能。爆風での鎮火を提案する専門家。しかしニトログリセリンを現地までどうやって運ぶのか?空路では気流が悪くヘリは使えない。悪路の中、トラックで慎重に運ぶしかない。油田会社は高給をうたい人員を募集する。この地獄から脱出したい四人がここに集結する。


この序盤で約1時間。予備知識無しで観たんで、この話がどう着地するのか分からずドキドキ。後半の1時間は2台のトラックに乗った4人が悪路と格闘する様が描かれる。圧巻なのは歩いても渡れないんじゃないかというレベルのボロ橋を豪雨の中トラックで渡るシーンがあるんだけど、どうやって撮ったんだか分からん。相当大規模なセットを組んでいる筈なんだけど、とんでもなく金かかってるんじゃないの?カナザワ映画祭の爆音仕様でこのシーン観れたのは良かった。凄えシーン!


終盤、三人の仲間を失いトラックまで故障し絶望するロイ・シャイダー(言うの忘れたけど、本作の主人公。教会強盗の生き残り)。遺跡の前で佇むと異様な笑い声がこだまする。目の前には悪魔の顔の像(因みにこれがOPカット)!ロイ・シャイダーの幻聴なのか?

ラストはニトログリセリンを自力で運んだロイ・シャイダーに報酬が支払われる。彼はようやくこの地獄から脱出できるのだ...しかし!


ラストのラストで本作が主人公達の地獄巡りであった事が分かる。罪深い彼らは既に地獄に落ちていたのだ。ロイ・シャイダーの聞いた悪魔の笑い声は幻聴ではなかった!

オリジナル未見で言うのも何だが、多分本作はオリジナルと全くの別物だ。だって原題が『Le Salaire de la peur』(恐怖の報酬)なのに本作は『Sorcerer』(魔術師)なのだ。多分、悪魔の像の事を意味してるのではないかと思う。つーか世界観的にエクソシスト外伝と言ってもいい。この世に悪魔、地獄は存在するという非常に宗教的なテーマをサスペンスのスタイルで描いている。日本では30分もカットされた短縮版で公開され酷評されたという。完全版が公開されたのはひょっとしてカナザワ映画祭が初めてってこと?それだけに客入りが少なかったのが惜しい。カナザワ映画祭2014のラインナップで一番の傑作はこれですよ!