ルイまる子

花腐しのルイまる子のレビュー・感想・評価

花腐し(2023年製作の映画)
3.5
デジタルに移行する頃の廃れていくピンク映画業界が時代背景。しがない映画監督、綾野剛と、シナリオライター柄本佑、二人の色気男が共演。どんどんダメダメになっていくやるせない日常の様子、売れない女優の彼女、祥子との会話などなかなか愛おしくて良かった。二人の男が偶然出会い、それも立ち退きを言い渡しに来た綾野と、住人がいなくなったアパートに住み続けるダメ男が柄本だ。酒を飲み昔の思い出についてそれぞれが語る設定だ。芥川賞の松浦寿輝の同名小説が原作だ。現在が白黒で過去の思い出はカラーとわかり易い。セックス描写多めで、『ラストタンゴ・イン・パリ』のバターでなくマーガリンとか(なんのことか分かる人には分かる)、流石ピンク映画業界。ラストタンゴは大好きな映画なのでなるほど、とは思った。しかしここまでセックスを具体的に描くのはピンク映画ならではの描写だろう。

韓国バーのママが山崎ハコだったとは!なかなか昔の名優や味のある俳優がアクセントに出演しています。綾野剛の裸体(後ろ姿だが全身)がきれいだった。とにかくずっとタバコを吸い酒を飲んでいるが、好きなシーンも多かった。夜の雨、びしょ濡れになりながら抱き合う。ザリガニを見つける。ウチで飼うことにした。しかしやがてそのザリガニも死んでしまうが、「子供なんか要らないと言ったからザニガニも死んでしまったんじゃないの?」
と彼女が言った。こういう事、女性は言うよね、そしてダメ男が過去を振り返る時、いちいち思い出し、心に刺さるのだろうね。
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