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パトリシア・ハイスミスに恋してのmasatoのレビュー・感想・評価

3.8
すでに対象となる人物が亡くなっている場合、この作品のように遺族やかつての交友関係にあたりつつ、人物像を肉付けしていくほかない。そうすると、取材できる人たちの気さくさや、取材する側の考察力の深さに全てがかかってくる。もちろん、丁寧に肉付けできたとしても、本人がつまらないという場合もある。

パトリシア・ハイスミスはとても面白い。ややこしくて奥深くて見ていて飽きない人物だ。もしかしたら、この映画で紹介された以上に面白い人物だったのではないかという気もする。

正直、パトリシア・ハイスミスの創作へもっと切り込んでほしかった気はするけれど、
気のいい親族が横並びでインタビューに答えているシーンや、なんとなくパトリシアとの別れ方を悔やんでいるかつての恋人の場面は面白い。

あ、ひとつだけ。『太陽がいっぱい』を見せるなら、リメイクの『リプリー』ではなく、アラン・ドロンのオリジナル版の『太陽がいっぱい』を引用して欲しかったなあ。
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