ささい

PERFECT DAYSのささいのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.7
「夜が明け、新しい1日、新しい人生」

刻一刻と変化する日常。生きていると毎日が同じことの繰り返しに思えてくるかもしれない。なんの変化もなく、このまま、何も知らずに死んでいくんでは無いかと思う日があるかもしれない。でも、決してそんなことは無い。日々は移り変わる。
ゆらゆらと風に揺られるその葉に意識を凝らすことができたなら、そこに広がる世界はもう昨日のものとは全くの別物になっているはずだ。何も変わらないなんてはずないじゃないですか。そんなの悲しいじゃないですか。

自然も人工物も全部ひっくるめた世界というアートを目の前にして退屈することは無い。世界を通して見た自分の心は木漏れ日のようにひと時として同じ瞬間はない。



ライティングが面白い。
セリフなしに些細な動作や表情でこちらにまで伝えてくる演技力。
白黒の光と影の演出。そこからまた一日が始まる。繋げ方。
ミニマリズムかと思いきや反ミニマリズム。構成自体はミニマルであるのに、そこから伝わるメッセージは全く真逆のもの。
いい意味でも悪い意味でも外国人監督によるクールジャパン。
社会を描くことはしなかった。しかし、個人をこの上なく美しく描いて見せた。個人のみに焦点を当てることで社会が反射した見えた。ラストシーンは鳥肌モノ。あの数分のワンカットで彼の生き様、どのように生きて世界を感じ取ってきたのかを描いて見せた。
所々で笑える。ギャグも面白い。
ささい

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