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PERFECT DAYSのKOZOのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.7
役所広司がひたすらトイレを掃除してる…だけの話では無く、多くは語られない過去の深い悲しみやしがらみを捨てて、必要なものだけを側に置いた日常生活を送るなかで同僚や地元で出会う人たちとのエピソードに和んで…。

ヴィム・ヴェンダースは『パリ、テキサス』と『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』しか観てないけど、邦画にないテイスト(特に映像)に惹きつけられる。東京の橋や川といった風景に溶け込む出演者たち。朝日や夕焼け、木々や木漏れ日、雨も印象的。

古本、フィルムカメラそしてカセットテープ。
仕事に向かう車での移動でそのカセットテープから流される60年代から70年代の曲たちもとても東京の情景や主人公の心情に合ってる。

浅草の地下にあんないい感じの飲み屋があるのね。店主役の甲本雅裕の「お疲れちゃん」だったかな?あの店めっちゃ行ってみたい。
石川さゆりってあんな登場の仕方なんや、カッコいい。さらに三浦友和。いいシーン。
無口で穏やかなのだけど、時折いろいろな喜怒哀楽を見せてくれる役所広司の演技はやっぱり最高。ラストも凄い。最初にしがらみを捨ててと書いたけど、ささやかな幸せを願ってもいいじゃない。

すっかりモノや煩悩にまみれた生活を送ってしまってる自分がこんな生活を送れるのかいろいろ考えさせられた。
本年ラストにふさわしい良作だった。
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