Shin

PERFECT DAYSのShinのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.9
 役所広司主演でヴィム・ヴェンダース監督とあれば観ない訳にはいかない。ただ元旦の大変な時に鑑賞していた為、なかなかこちらに書き記すことができなかった。

 主人公の平山(役所広司)が朝起きてから身支度し、植物に水をやり、やりがいを持ってトイレ清掃の仕事に従事する姿はまるで僧侶を思わせる。そして変わりばえのしない毎日の中にも、車中で気分に合わせカセットテープで好きな曲を聞いたり、好きな樹木をカメラに収め、古本屋で手に入れた本を寝る前に読んだりと、小さな幸せを見つけている姿が素敵だ。

 中盤で思わぬ訪問者が現れて、平山の過去が垣間見れるも、必要以上に語らず余白を残し、観客の想像に委ねる展開も良かった。その訪問者も本作でデビューというから、驚きだ。

 ラストシーンで見せる平山の表情はまさに圧巻で、内容は真逆ながら「殺人の追憶」のソン・ガンホを思い起こさせた。セリフがなくとも平山の心情がすべて伝わってくる。

 "木漏れ日"で表現された"破調の美"を体現する平山の姿はこのように生きられたら理想だと思わせてくれる、素晴らしい作品でした。
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