このレビューはネタバレを含みます
主人公の平山さんの穏やかな生活の流れを見て、こんな風に生きられたらどんなに良いだろう、と思う人もいれば、平山さんの妹さんのように「なんでトイレ掃除の仕事なんかしてるの?」と思う人もいるかも知れない。
私は前者なので、彼の生活があまりにも美しく見えた。今のところ今年No.1の映画で、何回でも観たい映画である。
同じヴィム・ヴェンダースの『ベルリン・天使の詩』もそうだが、観ると自分がちょっとだけ善人になれるような、優しい気持ちに満ちた映画である。
淡々と静かな暖かい気持ちになりたい人におすすめ。それこそ木漏れ日を眺めて、心を休めるように。
なお、平山さんが聴く音楽や読んでいる本の詳細はすべてパンフレットに書かれているので、興味を持った方にはこちらの購入もおすすめしたい。ルー・リードのカセットがチラッと映ったり、曲もかかるので、平山さんの姪っ子さんの名前の『ニコ』はヴェルヴェッツのニコから来ているのかなと思ったら、その件についてちゃんとパンフに書かれてあった。
【他にも細かい点】
・監督や脚本家のこだわりなのか、平山さんが使用するトイレは出てこない。公衆トイレってほんと汚いよねという露悪的な場面も一切ない。食事しながらでも観られるレベル。
・平山さんに関わる他の人々の背景も想像すると楽しい。個人的には犬山イヌコさん演じる古書店店主が好き。